超難易度 リアセクションALLワンオフ
シート周りをイチから作る
シートカウルは各部のサイズが全然合わないので、全体的にワンオフになってしまいます。
シートレールから異車種をコンバートする方がよっぽど楽なんですが、溶接のスキルが無いのでここは既存のレールに対してカウルを合わせる方向でいきます。
運動性能上もその方が変化が無く、車検の不安も減るので私はいつもカウル側で対応です。
さて、まずはシートから作り直さなくてはいけません。
ベースを切ってタンクの形に合わせたら、スポンジを乗っけてバランスを見ます。
慎重にカッターナイフでスポンジをスライスしてから成形し、無理なテンションが掛かっていないことを確認したら、あとは伸びるシート生地を、タッカーを使って適当に張るだけで完成します。
問題なのはシートカウルの方でした。
GV73には89年式と90年式の前後期が存在します。
私はフロントは89年式が好きなのですが、リアは90年式が好きなので、思い切ってこの二つをカットして、前後で継いて行こうと思います。
接着補強面をヤスリで荒らし、左右対称になる様に裏側からFRPと樹脂で固定してゆきます。
裏が乾いたら、ベルトサンダーで表面を削り、表面からもFRPで補強します。
89年式のシートは丸くラウンジしていますが、90年式のテールは角ばっていて絞ってあります。
これらの全く違う面をマッチさせなくてはいけません。
最大の難関であるシート前方のと付け位置「ヘソ」です。
この位置を間違った日には、すべての寸法が狂い、これまでの努力が水の泡になります。
車両を養生してから、慎重何度も何度も確認して位置を決めてゆきます。
シートカウルを取り付けるヘソの高さを慎重に調整して、最終的にFRPで強化して固定させます。
これを左右で完璧に行う必要があります。
面を出す
何とか難関を潜り抜けました。
前後のシートも、苦労の末に連結が出来たので、あとはパテで仕上げます。
試行錯誤はしていますが、金工ヤスリ一本でここまで仕上げることが出来ると言う例です。
この後は耐水ペーパーで均すれば、見事な造形となります。
課題だった連続面も克服しました。
連続的にオーバルから角への変化を作ってみました。
巣穴が出来てしまったので、何度がパテを入れる必要がありました。
シングルシートカバーを作る
そうそう、シングルシートカウルは、完全にゼロから作ります。
そりゃそうです、そもそもシートカウル自体がオリジナルなので、合うものがこの世にありません。
適当な段ボールでまずはイメージを作ってみます。
横から車両を見て、ガソリンタンクとのラインを一直線になる様にまとめてゆきます。
100円ショップで売っているPP板を買ってきてハサミで切りだし、アルミテープで仮止めしながら、ホットボンドでリブを立てて形状を固定し、FRPのシングルシートカウルの「型」を作ってゆきます。
リブはFRPを貼った際に、熱で反り返りを防止する意味もあります。
自立して歪まないことが、型に求められる条件ですが、熱に弱いので慎重に行きます。
一気に築層すると熱を持って反ってしまうので、薄く時間を掛けて乾燥させます。
型から抜いたばかりのシングルシートカバーです。
笑っちゃうほど直線的な形です・・・・こいつは手がかかりそうです(涙
カットする大体の形を決める為にマジックでラインを書いてゆきます。
こうしてみると、ほぼ無駄なく作れたみたいですね。
ラインに沿ってベルトサンダーでバーっと削って行き、表面は広めのヘラを上手く使って、パテで処理します。
処理後はこんな感じで、角を落としてパテを入れると、一気にそれらしくなります。
最終的には、この後耐水ペーパーで仕上げて完成です。
ディテールUPする
さて、一点問題が発生しました(勝手に自分で問題にしただけ)。
シートカウルの印象がどうにもボテっとしていて見苦しいのです。
「いや、1100はそう言うものです」と言う元オーナーの方もいるでしょうが、ちょっと私のイメージとは違うんですよ。
多分私自身が、同時期に同じGSX-Rの400に乗っており、そのガンマのような直線的なラインが頭の中にあり、混ざっているような気がします。
散々並んだ末に、このラインでシートをバッサリ切り落とすことにしました。
カット後に気になっていたヘソ近辺を化粧します。
ヤスリを当てた跡が生々しいので、綺麗にしてから塗装に移ります。
自作シングルシートもこのままでは「ただの蓋」です。
固定する為にはシートキャッチを取り付けなくてはいけません。
厳密に高さを測りながら、カバー内側のどのくらいの位置に折り返しを付けるか検討し、FRPにて強度を保てるギリギリで作成してゆきます。
一方、それに合わせて車両側のシートキャッチの位置も変わってきますので、固定用のステーをアルミの端材を使って作ります。
もろもろ位置合わせを行い取り付けます。
もちろん艶消しの黒で染めてあるので、美しくインストールされています。
最後の仕上げに、インナーフェンダーの加工が待っています。
シートキャッチは鍵で開閉するシンプルなつくりですが、この位置が変更になる為です。
写真は一度インナーフェンダーの横の出っ張り部分に移設した状態ですが、ここでは脱着に問題が出ることが分かったため、急遽再検討となりました。
結論から言うと、サイドのミミを全て切り落として、キーシリンダーはもっと内側に再インストールすることにしました。
これで完璧。目立たず、要を成し、さも最初からそこにあったかの様です。
純正風のディテールに仕上げる為の苦労を、ちょっとだけ紹介でした(笑)。
振り返り
あまりにも削り、切り、砥いだ為に自分の手首が逝ってしまい腱鞘炎になったり、五十肩になって病院に通ったりと大変でしたが、道具の方は耐えられなかったようでポキリと折れました(笑)。
壮絶な作業で「ほんとに完成すんのかよ・・・」と思いながらの作業は気が重く「巨大なゴミを買ってしまったのでは?」と言う不安から、危うくメンタルがやられそうでしたが、何とか達成できそうです。
カスタムは進んできましたが、これは大きなプラモデルではなく公道を走る物なので、この後は基本性能を取り戻し、運動能力もUPさせようと思います。