カスタムペイント
”あの頃”のカラーリング
外装やステーなどの小物の作成が終わり、それぞれのパーツの位置がガッチリと決まってきまると、デザインに沿ったラインを引くことが出来るようになりますので、いよいよ塗装工程が始まります。
各パーツにサフェサーを吹いて一度乾燥させたら、各パーツの位置関係や重なり具合を最終的に確認するための画像を取る為に仮組します。
シート形状を更にカットしてエグリを強め、全体のバランスを整えつつ、SUZUKI版の仏壇カラーを配してみました。
前後のカウルのベースは年式がバラバラ、フレームやタンク、エンジンや足回りは03年式の新しいものなのに、すべてが混然一体となって「どう見てもカスタムしたイレブン」になりました。
カラーコードを厳密に守ったことと、あの頃のパーツと取り付け方の手法に倣ったことが効果を上げているんだと分析しています。
チタンフルエキにセットされるのは、あえて当時は軽いとされていた(実際は重い)カーボンサイレンサーであり、細くて長いクラシックなBrightLogic製。
リアのブレーキh-スの取り回しも、最短距離を結ばずに、あえてDISKの外周に沿うようにクルリと円を描いたあとブレーキマスターへまっすぐに向かっています。
大きさな長さと言う、現代のバイクからは削ぎ落されていた「風格」を取り戻すための工夫を色々なところに散りばめ、それらを全体的にまとめ上げました。
より実車のイメージを掴めるように、一度ブラックをバサっと塗ってから、ラインを探ってゆきます。湾曲している物に真っ直ぐに見えるラインを描くには、湾曲している逆ラインを引かねばならず、これをフリーハンドで実現するのは、かなり難しいです(慣れている人でも)。
近づいては離れてを繰り返し、膨らんだ面に対してどう曲げると真っ直ぐに見えるかを、頭で考えながら、何度も何度もラインを引き直してゆき、デザインを最終化して行きます。
当然、各パーツ同士のラインが繋がるようにです。
私は安易にステッカーを使わず、細かなロゴもすべて自分でイチから起こし、マスキングにてウレタン2液塗装にて仕上げます。
その方が、角度や大きさの自由が効くので、結果的にクオリティが上がるのです。
実はこのロゴ、当時のイレブンには使われていないものです。
同年代のGSX-R400のロゴですが、非常に似合うので今回採用しました。
そんなエンスーがニヤニヤするような遊びを随所に入れつつ、マスキングシートを作成してゆきます。
地味な作業ですが、これを丁寧にやらないと後で痛い目に遭います。
今回はブラックにも少しメタリックを入れました。
大量に調色しておき、補修にもこまらないようにしておきます。
塗装は一回で上手く行くのが理想ですが、結構補修も入るんです。
中にはクリアまで行ったのに、砥ぎすぎてしまい塗り直しなんてこともあります。
仮のブラックに適当に足付けしてマットになっているカウルに、ダメ押しの本塗装を行います。
艶の有り無し確認みたいになってて面白い絵図らですね。
このマットな部分には明るいシルバーが乗りますが、このままベースが黒だと隠ぺいの弱いシルバーが負けそうなので、一回白を塗ってあげてからシルバーを塗装します。
顔だけに、結構気を使います。
タンクもアッパーと同様です。
K3のタンクは大きく出幅があるので堂々としていますが、こうしてみると意外に角ばっていることが分かります。
この時代のGSX-Rは、Hayabusaの様にヌメヌメとした曲線構成ではないんですね。
幾つかの工程を経て、理想通りの物が塗り上がりました。
取り付けるのが楽しみです。
SUZUKIのロゴも塗装にて仕上げています。
サイドカウルもどんどん塗って乾かしてゆきます。
今回は小変更で済んだので手が掛かりませんでした。
シャンパンゴールドを調色し、ロゴを一気に仕上げます。
SUZUKIの仏壇って感じじゃなく、結構自然です。
こんなのあった?とはならないはず。
シングルシートカバーも一緒に塗装します。
シンプルな形状でしたので作ることが出来ました。
純正品はレア物扱いで、各年代のカバーの出品は少なく、2万円以上で流通しているようです。
みんな自分で作ればいいのに。
その他細かいメーカーロゴも全部塗装です。
ラインなどもちょっと追加して、カウル間を跨がせたので、装着時にズレない様に気を付けます。
カーボン製の泥除けにもちょっとお遊びを。
目立たないので誰も気が付きませんが、こういったところにも手を掛けると、カスタム車両の品が一段上がっていい感じです。
悪目立ちしない様に、あえて黒染めとしました。
完成
いかがでしたか?紆余曲折を経て完成しましたが、特にリア周辺が結構苦労しました。
当時の流行りをオマージュして、アンダーカウルを外しエキパイを見せる、カフェレーサースタイルにまとめてみました。
最終的にF[フェンダーは黒く塗り直し、バランスを整えました。
単座のライトチューンイレブンに見えますが、ロゴはしっかり1000ってところが面白いかなと。
水冷で軽くてパワーのある、インジェクションエンジンを持った壊れないGSX-R1100が、現代によみがえりました!!