今回は純正のシートをそのまま使います。
K8の純正シートは極々一般的な形のシートなので、後ろ側に向かって末広がりになっています。
1100系の古いGSXはここが全く異なっており、幅が同じガンファイターシートの様になっています。
全くシート形状の違う両者を同じカウルで結ぶには無理がありますが、そこを工夫します。
御覧の様に似ても似つかない両者のカウルですが、禁忌の技を使い、昭和な形状のシートカウルから、K8純正のシートラインへと上手くつなげてみます。
K8のシートの根本は、カーボンタンクカバーの目隠しにも一部なっており、これもまた純正形状を引き継ぐ理由の一つです。
切った貼ったのハリボテバイクならいっそのこと楽なのですが、StudioQはそういったやっつけ仕事を好みません。
あらゆる部分において、純正の品質を超えます(最低でも同等とします)。
破断しているジョイント部分は面構成から見てどうにもならないくらい違います。
そこで一計を講じ、エグリを入れた補強用のリブを立てることにしました。
こうすることで2つの全く違う面構成を分ける事で、デザイン的な説明が付くわけです。
さっそく端材のPPシートを上手く活用して、足りないパーツを作ってゆきます。
この辺は、数々の修羅場をくぐってきた経験のなせる技です。
装着のイメージはこんな感じです。
鋭角にリブを立てて補強代わりにしつつ、デザイン上のアクセントにします。
我ながらいい考えです。
反対側も同じように作ります。
同じ型紙に合わせて切り抜き、反対側に曲げ加工します。
曲げは手で曲げてもいいですが、牛肉の筋切りの様に、曲げたい所に少しだけカッターの刃を立てておくといいです。
さ、準備は出来ました。
マスターモデルだから型撮りにしか使わないとはいえ、ファイバーパテのみの頼りない両壁についてもガラスマットで補強し、緩やかなアールを完全に固定するべきです。
ついでにメスを入れてしまった部分も綺麗に直します。
このようにファイバーパテとガラスマットは相性が良いので適宜使い分けます。
複雑な形状の所はファイバーパテ+ガラスクロス、平面はガラスマットで築層と言った具合です。
純正のシートカウル部分は、樹脂を塗る前にヤスリで荒らしておき、しっかりとアセトンなどでふき取っておくと、ABSでもガッチリと樹脂が食います。
ニコイチどころかサンコイチぐらいの感じになって来ましたが(笑)、本来ありえない合体が完成しました。
こうした技術を駆使し、ありとあらゆる形状の造作を行います。