まだまだパーツが乾かないので、後回しにしていた作業に入ります。
ワンオフで作った細々としたステーを3分艶のオフブラックで染め上げてゆきます。
カウルのミラー付け根のステーも同様に塗りました。
ここは特にライダーの視界に入ってくるので気を使います。
面倒でしたが、すべてのパーツは全て角を丸く処理しておきました。
時に大きく、時に小さくと、パーツに合わせて様々な形で面取りしてあります。
とても時間がかかるし、そうしなくても機能的には何も変わらないのですが、どうしても製品として品質を上げたいので、見えるところも見えない所も、同じように拘ります。
既製品のETCアンテナの台座すら、同じ色で統一します。
どこかで買ってきた物をポンと付けた瞬間、コーディネートは崩壊します。
こんな所まで気を使い、純正ライクなコックピットを目指します。
あー!汚いっ!!!!(笑) 最後に気になってたメーターに手を付けます。
実は元々はここまで汚くなかったのですが、FRPの粉が舞いあがるガレージで保護されずに1年放置された上に、ある時、私がうっかりアセトンのシブキを飛ばしてしまったので、更に汚れました。
もうパーツ丸ごと取り換えてもいいのですが・・・ここはスキルの見せ所です(自作自演かよ・・・)。
早速取り外して分解です!
ケースとステーを分解し、分けた上で「鬼マスキング」します。
カッターではなく、デザインナイフを片手に、ヘッドセット拡大鏡をパイルダーオン!(古っ)
そのうえで、高照度LEDで照らしながらの、精密な作業です(全集中の為、写真撮り忘れました)。
気が付けば・・・終わった後です(笑)。
メーターカバーの透明なレンズ部分の白濁は、3Mのマイクロコンパウンドでしっかりポリッシュ。
その他、計器の丸い穴は全て精密にマスキングしてから、5分艶オフブラック塗装でフィニッシュです。
メーターステーの方だけが白くボケてると格好が悪いので、こっちも同じように塗装します。
元々の状態も綺麗だったのですが、それを上回るクオリティで復活しました。
おお・・・新車の様です。
オフブラックで締まったメーターに、キーオンで鮮やかにLEDが浮かび上がります。
コンプリートマシンの完璧なコックピットが完成しつつあります。
やはり、コックピットは格好よくなければいけません。
塗料が余ってて勿体ないので、あわてて急遽リアフェンダーを外して塗装しました。
外して見ると、ノーマルは樹脂のままで表面がザラザラ。
更に、油分が部分的について、黒い部分がまだらに弾きます。
結局完全に脱脂してから軽くペーパーを当て、スムーシングしてから吹きました。
しっかりと足付けしたのが良かったのか?意外と塗料を吸ったので、薄く丁寧に何度も重ねる事になりましたが、おかげでとても綺麗です。
こういう細かい部分への拘りの積み重ねが、車両全体のオーラとなって行きます。
良く「神は細部に宿る」と言いますが、これはまさにその例かも知れません。
そして、もしかしたら、こんなところにも神様がいるかも( ´艸`)。
これはETCアンテナと受信機の二本のラインを前まで持ってくる配線なんです。
どうせ見えないんでしょうが、ABSのパイプラインに沿って、美しく配線し直してみました。
配線は美しくなくてはいけません。
無駄に長くてもダメだし、短すぎてユニット間を横切っていてもイケません。
適当に繋ぐなんてもっての外。
究極的には、回路図の様に、意味を持って美しくあるべきと考えています。
この車両の配線の引き直しは各部で行っており、これには半日使っています。
時には樹脂パーツを少しだけカットして、理想の場所にフックさせることで、取り回しが劇的に改善することがあります。
実際に車両にまたがったままハンドルを切ったりしながら、そういう場所が無いか?実際に一つ一つ試して決定してゆきます。
極端な事を言うと、間違った配線によってハンドルの切れ角が無くなってしまい、それが原因でUターン中に道の真ん中で転んでしまい、後続車両に轢かれでもした日には最悪です。
又、無理な配線は断線のリスクもあり、これも失火による転倒につながるかもしれません。
本当に、配線は長くても短くても、間違っててもダメなんです。
だからこそノーマルの「意味ある配線」を変更すると言う行為には、結構責任があると思っています。
そんな訳で、大き目なカプラーは、安全であり且つ新しいカウルにとってもベストな場所に収めます。
何気にレギュレーターもステーを作ってこの下に設置しています。
外から見えない所に美しく配置することに加え、このパーツは放熱が必須なので、走行風の当たる所を選ばなくてはいけません。
細々と書きましたが、プラモデルじゃあるまいし、ただカウルを作って終わりじゃありません。
これは、みんなが使う道路を一緒に走る”交通車両”なんです。
車両の整備責任は全て所有者ですが、どんな風に作ったかぐらい、オーナーにちゃんと引き継ぎたい。
そのうえで、使いながらもっといい形に直すのであれば、みんな幸せです。
デチューンにならず、乗る人が安心して楽しい思い出を作れることが、最低条件だと思っています。