世は空前のネオ・クラシックブーム(ネオクラ)!。
GPZ900Rが好きで好きでしょうがない私ですが「でも遅いのはヤダ」「壊れるのもヤダ」と言う、困ったちゃんの私です。
そんな私が悩みに悩んで「作ってみよう」と思ったのがこのZ1000Ninjaです。
ベース車両を替えながら、何度も何度も作ったZ1000Ninjaですが、その中でも「最高傑作だった」と今でも胸を張れる Z1000Ninja2007 についての製作過程を公開します。
Kawasaki Z1000はベース車両として最適
どこにでもある、KawasakiZ1000の2007です。
これはこれで、さらっとセンス良くライトカスタムして乗ってたつもりでしたが、もう満足できなくなってしまったため、変身してもらいます。
攻撃的なストリートファイターとして発売されてましたが、実際に乗ってみると、すごく乗りやすい「ツーリングマシン」でした。
これを機に、直管のスカスカ爆音サイレンサーを捨て去って、ちゃんとしたNojimaのフルチタンを買いました(高かった・・・・)。
スパイラルコネクターを経由して、ロックオンサイレンサーがレアな一品です。
このままの車両だと「少しだけ長いかな?」と不安になりますが、そこは妄想.JPなので、しっかりCGで確認済ですよ。
ちょっとお尻が高すぎるので、サスも変えてしまいます。
車高もそうですが、このバイクとにかく「サスが柔らかすぎ」なんです。
思いっきり攻めると腰砕けになるし、バンク中にギャップに乗るとオツリが帰ってきて死にそうになるし・・・・高速道路を長距離移動するにはいいんですが、峠に入ると全然ダメ。
これがリアだけではなくフロントもなんだから、もうどうしようもありません。
真っ先に足回りを改善するべきバイクです。
足を軽くするためにゲイルスピードのTYPE-Rをチョイスします。
ついでにチェーンとスプロケットを520へコンバート。
RKの銃鉄スプロケは重いですが、頑張ってる肉抜きがなかなか格好いいです。
もちろんタイヤも新品です。
足回りの仕上げはSUNSTARのプレミアムレーシングを前後で選びました。
スリット+ドリルドの一番くどいデザイン(笑)にして、ピンにはゴールドと言うお目立ち仕様。
これには明確な意図があり、足回りをキャリパーも含め真っ黒でコーディネートして目立たなくした上で、このDISKだけを浮き上がせる様に派手にしているんです。
これによって、メリハリのあるアピールになります。
ハンドル周りは常にライダーの目に入ってくるので、あまりショボイ物は使いたくありません。
今回は無理にセパハンにはしないし、カウルのナックル形状に制約を受けないので、ここは自由にBremboの19Φをチョイスしてます。
リアもBremboで揃えますが、ほとんど目立たないので安いカニで済ませます。
でも、その分お金が掛かるのがAGRASのキャリパーサポートです。
正式品番の最後に「ーB」を付けるとメーカーでブラックアルマイトにしてくれるオプションがあるのですが、ここは黒にしちゃダメで、シルバーのアルミ削り出しが正解です(両方試しました)。
理由はキャリパーに色が無いのと、リアのブレーキDISKが小さくてほとんど目立たないからです(真っ黒になってしまう)。
サポートがノーマルはスイングアームの上ですが、これにすると下に替わりますので、ブレーキラインを交換するときは、既製品では無く計測して長めの物を作る必要があります。
Z1000 2007はクラッチは油圧式ではなくワイヤー式です。
ワイヤー式の後付けホルダーはなかなか流通してませんが、アントライオンの物をチョイス。
非常に高級で、タッチも最高です(実際に高いです)。
Z1000にとっては、コンパクトで済んでいたアッパーを、GPZ900Rに変えると言うことは、単純に重量増を意味しています。
故に、少しでもその重量を相殺するには、アッパーカウルステーを鉄からアルミにする必要があります。
デザインを具現化する
我が妄想.JPに抜かりはありません。
ほぼ病気かと思われるクオリティで完成図を仕上げ、デザイン思考で作業を進めます。
寸分たがわずこの通りに作成し、この世に降臨させるのがこのプロジェクトです。
妥協はしません。
アッパーカウルステーは、なんと勿体ない事にカットします。
タンクも盛り上がる部分と干渉する為です。
こんなことなら、アフター品ではなくワンオフした方が早かったかもしれません(そして安かったかも)。
今回は、メーターハウジングを贅沢に作り直すので、それをしっかりとマウントするステーを追加で作成します。
もともと無かったものを追加するのは、そう簡単だと思ってはいけません。
メーカーは物凄いお金をかけて、無駄のない強度で各部を作成し、様々な走行テストを繰り返したうえで車両を世に放っています。
私はその禁忌を犯し、バランスを崩すだけではなく、本来あったものを取り外し、あるはずの無かったものを追加するわけですから、何が起こっても文句は言えません。
その為にも、最低限+αの強度を常に考え作成しなくてはいけません。
フレームネックへの取り付けステー溶接と、ネック部分のアルミ材の補強は必須です。
カウルは、ノーマルのGPZ900R形状にブライトロジック社のカウル延長キットを合体させた状態で、それらを一体化した形状のカウルを作りました。
取り付け高さと、カウルの角度、ハンドルを切った際のカウルクリアランスをバランスさせてゆくと「ここしかない」と言う一点が見えてきます。
経験則ですが、ここで妥協すると一気にダサくなります。
理想の位置に合わせる為なら、平気でカウルを作り直すくらいの覚悟で挑みます。
コツは1日で即断せず、何日か置いてから眺めることです。
これによって「ああそうか!」とか「いやいやいや・・・」とか(笑)色々あるんです。
「もう疲れたしいいや・・・」ってのだけは”無し”です。
絶対に妥協しない
ステーはアルミ製の物を用意して軽量化しましたが、これをさらに半艶で黒染めしました。
ライトはレイブリックですが、後半はスモークレンズに交換しています
理想はガラスではなく、樹脂製のレンズの軽量な物がいいですね。
良くありがちなパターンとして、ZRX1200DAEGのヘッドライトハウジングを使う場合がありますが、ちょっと独特な形状なので加工が必要になります。
どうしても!ってこだわりがない限り、私は選ぶべきではないと思います(そして左程格好よくない)。
メーターハウジングはGPZ900Rの物を使う手もありますが、実際に中身をくりぬいて追加メーターなどを配した結果「デカすぎる」と言う結論に至りました。
DefiのRacerGuageは車内で使うものなので防水ではありません。
これに保険をかける意味でも、ハウジングに収めてからコーキングする方法を考えていました。
結局、どう考えても奥行きがありすぎて、カウル内に収まらなかったので諦めました。
残念!!
オリジナルメーターパネルは、カーボンパネル二枚でサンドイッチする形で作ります。
これはTaste Of Tsukuba(テイスト・オブ・つくば)などのレース現場で良く見られる手法です。
頑張ればプライベーターでも自作可能です。
素人でもできる作業ですが、二階のパネルを支える支柱は作れないと思います。
この長さは、メーターの奥行に合わせてミリ単位で作る必要があるので、金属加工が得意な人以外は、ちょっと難しく感じるかもしれません、
化粧されたフジツボは、ツインサスペンションのマウントに使うものを流用してみましたが、ちょっと大きかったかもしれません(そして下品)。
メーターはDefiのRacerGuageのタコと電圧計を仕込んでます。
選んだ理由は、コントローラーを介さずに、配線を結線するだけで動作する点です。
頑張ってノーマルメーターも残したので、中々壮観な眺めですが、多少手作りな「素人っぽさ」の残るディテールがあり、色々反省点(改善点)の残る物でした。
デザインの力を加える
カウルの位置を厳密に調整を繰り返しながら、決定しました。
この時点で、サーフェサーを吹いて、今一度面同士のつながりを確認します。
サフは光沢が無く陰影がはっきりするので、外装パーツ同士がどのようにつながっているのか(また、そうではないのか)を確認するのに有効です。
調子に乗ってどんどん進めると、たまに落とし穴にはまることがあります。
この写真は、乗車姿勢からみて丁度見やすい位置にメーターの位置を決めたところ、位置が高すぎたことが判明したってもの。
この後、スクリーンを付ける際にメーターのカーボンパネルに干渉してしまいますので、ステーを溶接し直す羽目になりました。
近づいては離れ、片目をつぶったりしながら何度も何度も何度も・・・・・フリーハンドでテープを貼っては貼り直します。
テープの物性に従ってカウルにただラインを引いてしまうと、様々に降り曲がっているカウルに釣られてしまうため、まっすぐな線を引きたくても曲がってしまいます。
これを防ぐには、まっすぐに見せる為に「弧を描くように線を引く」と言う、一見矛盾した作業をこなさなければいけません。
これは非常に難しく、経験の身がものを言う世界なので、完全にノウハウです。
この作業を、細やかなデザイン全て行い、且つ2Dで書いたとおりに塗装するだなんて「無理」だと思うでしょ?でもね。やるんですよ。
そうしないと完成しないんですw。
完成!
さて、皆さんいかがでしたか?
買ってきたパーツを取り付けるだけのカスタムに飽きてしまった。
人とは違う、世界に一つの自分だけのオートバイが欲しい。
そんな方には、かなり刺激的な内容だったのではないでしょうか。
あなたもワンオフカスタムの世界に、飛び込んでみませんか?