命名 HONDA CB1000RR

約半年間、ほぼすべての私の自由時間を食らい続けた怪物が、ついに目を覚ましました。
名車CB1100Rを、2011年式CBR1000RRーSPをベースにオマージュし、且つStudioQの十八番であるネオカフェレーサーとして仕立て直した一台の完成です。

今回も、StudioQのアイデンティティであるカフェレーサースタイルに落とし込んでいます。
個性際立つ特徴的な前後のカウルを、純正形状を模したアンダーカウルが綺麗に纏めます。

モダンなフロントフェンダーや短い純正マフラーなども相まって、ネオカフェモード全開です。
新しいのにどこか懐かしい。StudioQのコンセプト「温故知新」はいまだ健在です。

ボリューム感たっぷりなレトロな形のシートは全長を延長され、車格に見合ったものになりました。
灯火類も車検に対応できるように再調整されており、寸法変更(要構造申請)さえ済ませれば、ずっとこのままの姿で車検が通せるようになっています。

リモデルされながらも、SC59本来のスタイリッシュさは、微塵も失われていません。
純正マフラーのモダンなデザインを生かしつつ、チャンバーの断熱カバーに接続するような形でアンダーカウルを設置しブラックアウト。
トータルで「長い船型のアンダーカウル」に見えるような視覚効果を狙っています。
この車両が本来持っている”塊感”をキープできる様、デザインを理解するのに腐心しました。

カラーリングは往年のHRC寄りなトリコロールカラー。
ネオカフェらしく、旧書体ではなく新書体のイタリックロゴとし、本来茄子紺に近い青いカラーはトリコロール側の青に再調整してあります。
晴天の初夏の日差しの下、ホワイトパールにトリコロールが美しく映えます。
赤と青には所々にダークな影のグラデーションが入り、Rのロゴも新規書き起こしです。

唯一追加したのは、Defi製の針で動く小型タコメーターで、起動の度に針が元気に踊ります。
スペースが無い為、カーボンパネルでデジタルメーターとの一体化はせず、デジタルメーターの左横にずらしてオフセットしました。
メーターの表示を隠す事さえなければ、車検も問題ありません。
パルス配線探しは慣れており、今回もスッキリとインストールできました。
Gallary







あとがき

約半年間、メインステージに鎮座していた大物が、ガレージから忽然と姿を消しました。
今回は、完成予想CGの作り込みが甘く、肝心のデザインが2転3転してしまいました。
逡巡する期間も長くあり、非常に難産となった作品ですが、それだけに感慨もひとしおです。
HONDAのバイクを本格的に触るのは、これがはじめてでしたが、実は驚きの連続でした。
本来あるべきものが、あるべき場所に無いなんてことはザラです。
HONDAのバイク作りはプロジェクト毎に明確に設定されており、それを実現するためなら、既成概念にとらわれない自由な発想をも辞さないということが、良く分かります。
そんなHONDA車の調律されたバランスをわざと壊して、再び別なポイントでバランスさせるという事は、大変難しい作業でした。
一方私はというと、年齢もあり、疲れから体調を崩したり、集中力が続かなくなってきました。
昔の様な驚異的なスピードでのクラッシュ&ビルドを持続できません。
結果的に、熟考して丁寧に作業し一回で決める・・・という仕事の仕方に変わりつつあります。
又、他人の意見を多少なりとも聴くようにもなりました。
「そんな風に捉えるのか?」という気付きも多く、少し面白くも感じます。
結局、誰からも求められなくなったら、そこでオシマイです。
齢五十にして、私もようやく「丁度いいバランス」というものを見つけつつあるのかもしれません。
オーナー様、この度は大変お待たせしました。
改めまして、ご注文誠にありがとうございました。