先人達がトライした夢の跡先
GSX-R1000はカタナの夢を見る
はい、いきなりですがデザイン考察です。
過去、GSR750などでトライしたカタナ化ですが、いまだに「作って欲しい」お問い合わせをいただきます(やだよ・・・w)。
あれはあれでいいんですが、結局セパハン化やらバックステップやらミラーやマフラーなど、総とっかえする事になり、極めつけのブレーキ周りがお金が掛かってしょうがありません。
足回りをシャキッとさせると、とんでもない金額になってしまうんです。
そしていつもそこで思うのは「これさ・・・・最初からGSX-Rで作ればいいんじゃないの?」と言う事です。
GSX-Rはカタナの夢を見るか
感情を排して論理的に説明しますね。
①タンクの形
現代のオートバイはフューエルインジェクション方式が一般的です。
ダウンドラフト方式を取るこの多くの形式は、どうしても給油口付近に縦に機器が入ってしまうために、エアクリーナーと共にガソリンタンクの容積を圧迫し、必然的にタンクの形状も「ラクダのコブ」のような形になってしまいます。
ハンドルも近くして乗りやすくするために、タンクはこれ以上後ろに伸ばせませんから、必然的にガソリンタンクは上か下にしか行き場を失います。
当然下にはエアクリーナーがあったりエンジンがあるので上にしか行けないという訳です。
この「ラクダのコブ」によって、80年代のバイクの様に、タンクとシートが一直線に水平にすることが出来なくなってしまいました。これがカタナ化における最大の懸念点です。
②カウルがデカい
オリジナルのカタナのカウルは意外にも大きいものです。大きい上に前後にも長いので、現代のコンパクトなオートバイには似つかわしくありません。結局フィットさせるために、アチコチ切らなければならず、そうこうしているうちに・・・・カタナの雰囲気はなくなってしまいがちです。
いっそのこと、現代のバイクに合わせるならば、1100用ではなく400や250のカタナカウルの方がしっくり来るかもしれません。
③タンクとアッパーカウルは一つの塊
タンクとカウルの問題を仮にひとつづつクリアしたとしても、まだ問題が残ります。
実際にやったことがある人は、ここで初めてハンス・ムートのデザイン哲学に打ちひしがれるはずです。
そう、タンクとカウルは二つで一つのデザインであることに気が付く筈です。
このように葉っぱの様な「楕円形の一つの塊」として配置しないと、カタナには見えません。
ガソリンタンクも大分長い事に気が付きます。
そして実は、新型KATANAのスペシャルサイトのTOPページにも、それが示唆されています。
こんな形のガソリンタンクを持つオートバイは後にも先にもありませんが、形を完全にトレースできずとも、このタンクの長さを「カバー」等で演出することで、大分雰囲気を寄せる事が出来ます。
④タンクとカウルを安定させる脇役たち
カフェレーサースタイルとなるカタナは、エンジンを見せ、エキパイで魅せるのが本懐ですが、現代の水冷オートバイにそのような演出を求めるのは酷です。そこでそれをカバーするにはスタイリッシュなアンダーカウルが非常に有効です。アッパーが前方に突き出る形で長く伸びるカタナを軽快に見せるには、小ぶりなアンダーカウルが似合います。
何だってカタナに出来る?!
上記の不文律さえキチンと守れば、逆にいうとどんなバイクでもカタナ化は可能です。
たとえばこんな風に。
いずれにせよ、ほんのちょっとした角の角度や、R形状の違いなど細部に気を配り、それらを忠実に具現化する高い技術力が無いと、イラストの様には作る事は出来ません。
それでは実際に際に作ってみましょう