いよいよリアセクションに突入します。
各部のディテールを確認しながらの繊細な作業になります。
純正のシングルシートカバーを素材として、シートキャッチやフックを移植し、ウェザーストリップのリブも立て、ふいの雨水の侵入を防ぎます。
シートが被さってしまうと、内部のパーツの高さや位置を直接目視出来ない状態で施工することになるので、計測に頼る形になります。
繊細な作業で、すぐにやり直しが待っている最も難易度が高い作業です。
創意工夫と発想の転換にて、本来この世に無い物を作りました。発明と言ってもいいでしょう。
欲しい物が無ければ作りゃいいんです。
延長部分で癖が強調され、結構ハッタリがかませそう(笑)。
このシートだけで、すでにGSX-R1100カスタムの雰囲気がムンムンです。
PPシートを重ね、強度を増して型を作りましたが、やはりガラスマットの硬化時の熱と収縮で歪んでしまいました。
結構なエリアが水たまりの様に陥没している状態なので、よく見極めて土盛りしてゆきます。
サフを吹けばよりはっきりと見えるのですが、そんなこといちいちやってられないので、こんな時は指の腹の感触だけを頼りに見つけます。
この水たまりの様な陥没を埋めるには、ファイバーパテではなくポリパテを使います。
密着が良く、硬化も早く、切削もしやすい為です。
念のため硬い黒ゲルコートを、ハンドポリッシャーにサンディングパッドを付けて荒らしてあります。
パテが乾燥したら、まずは荒く#60程度で面を出してゆきます。
追加のパテは、お好み焼き~もんじゃ焼きくらいまでの広さの数種類のコテを使い、自在にパテを塗ってゆきます。
パテの塊をカウルのどこに置き、どちらからどちらの方向へ押し広げるのかをよく考え、イッパツで塗り広げて行きます。
ペタペタと何度も塗ってしまうと、いつまでたっても面が出ません。
簡単に言ってますが、コレ超難しいです。
このように広い面を一発で出すには、相当な訓練と経験が必要だと思います。
更に道具も、既製品では無く、それ用の物を自分で作ったりしています。
時にはパテにアセトンなどを追加し、好みの粘度に調整して使ったりもします。
口ではうまく言えないのですが、こればっかりは塗装と同じで、やった時間に腕が比例します。
時間は掛かりましたが、このまま頑張れば、最後には綺麗な絶壁が拝めそうです。
ある程度面を出したら、例によって捨てサフを吹いてしまいます。
テールレンズは飛び出させてカタナの様に被りを作っても良し。
GS1200SSの様に引っ込めて、周りを取り囲んでも良し。
オリジナルの様に、ツライチにしても良いでしょうが、テールレンズの入手が困難なうえに加工がしづらいと来ました。
今回はカフェレーサー風に、引っ込ませて取り囲む形を試す予定です。
純正カウルはこの「ヘソ」と言う取り付け方が普通です。
ゴムブッシュに突っ込んで緩く固定させることが出来ます。
これを造作でやるのは毎回ワンオフとなるので複製には全く適しません。
よって同じ場所に「井戸」を掘ることになる訳ですが、なかなか難しい処理です。
井戸の位置を間違ったらOUTで、壮大なやり直し作業が待っています
現車に取り付けて施工することも出来ません。
ここは正確に計測した上で、一発で決めないといけません。
先に「井戸」を掘っておきます。
PP板をテーパー状に丸めて固定し、それに直接樹脂を塗りガラスマットを含侵、更に上からファイバーパテで固定しています。
ワンオフは、創意工夫で何でも作ってしまいます。