試行錯誤
さて、いよいよ始めましょ。
アッパーの法面が足りなかった問題は、少し離してオフセットで解決です。
ここまで素材同士が離れてしまうと、PP板も、ホットボンドも、強力なアルミテープも効かないので、素直に治具を作らねばいけません。
ガレージに転がっているアルミ平板を切って、ベンダーマシンで同じ角度に曲げて行きます。
支えるだけの物なので、細かい仕上げには拘らずに、どんどん作って行きます。
何も考えずに、感覚でまずはセット。
いい様な悪い様な・・・さっぱり分かりませんが、あまり恐れてはいけません。
プロトタイピングとはそういうものです。
ん?車体にカウルがぶつかってしまう。アレレ・・・・?。
カウルを修正するにも、まずは一度車体に固定する事が必要なので試行錯誤します。
あっちこっちにカウルがぶつかるので、なかなか「ここだ!」と言う場所にセットできません。
これがバチっと決まらないと、Fフェンダーの造形にも移れないので、少し焦ります。
工具箱に転がっていた使い道のない長ボルトを使って、ブレースの取り付け面を嵩上げしました。
カウルブレースから少しオフセットしないと、カウルが付きそうにありません。
長ボルトだけではオフセットがまだ足りなくて?仕方ないので、アルミのバーでライザーステーを作りました。
ってホントに大丈夫か?!
まあ・・・・なんというかその・・・・固定しなくちゃいけませんしね。
ん~・・・・・・
いやいやいやいやいやいやいやいや・・・・・w
そんなわけないでしょ。なんすかコレ。
カウル単体だと、まあ・・・こんなもんかな?と言う感じ。
これだけ見てると、なんかイケそうな気がするから不思議です。
車両に付けてみました。
私の中で「パリン」と、何かが音を立てて壊れました。
どうしてこうなった・・・・・・。
これじゃブサイクなだけじゃないか!あんなに高価なバイクを切り刻んでこのザマかよ。
一瞬脳裏に、オーナーに土下座している自分の姿が思い浮かびました。
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。
干し芋をカジリながら、少し冷静になって考えれば、一番の問題は、純正ハンドルとレバーの位置や角度が全く変えられない事だと気が付きました。
そうだよ、俺に才能がないんじゃない。バイクが悪いんだ(笑)。頑張れ俺。
これがすべてのボトムネックとなり、カウルのレイアウトの自由度がゼロになっています。
さてどうするか。
試練の乗り越え方
私は常に、苦労や試練に遭ったときには、むしろ幸運と思う事にしており、ちょっとワクワクします。
選択肢に迷う時でさえ「難しいけど、もし成功したら、面白い事になる方」へと向かうのです。
家族にすら「迷ったら面白い方へ」と言う家訓を、常々言っています。
自分が幸運なのは、苦労をせざるを得ないような状況に、常に追い込まれることだと思います。
この趣味自体が、それそのものでしょう。
ってな具合ですので、さっそく打開策を見つけました。
ひよって、スクリーン角度が起き過ぎていたので、もう少しステーを工夫して作り直します。
カウル外側からの支持ではなく、内側から支えられるものへとステーを変更し、折り返しも少し複雑にして、カウルとの密着度を上げ強度を確保します。
折角決まった位置が出ても、カウルが動いてしまったらどうにもなりません。
同時にそのステーに合わせる様に、純正カウルの一部を、更に切り取りました。
試しに開けた、取り付け用の穴がどんどん増えてゆきます(笑)。
そもそも純正カウルを再利用する理由が減ってきましたが、大丈夫、そろそろ当てに行きます。
結構ガッチリと固定したので、ビクともしません。
このまま外側からFRPでも貼って固定したらGoodかもしれません。
そのためにも、FRPカウル素材の方をもう少し削りたいところです。
バッチリイメージに寄ってきました。
自分の想像よりも、大きく振り切らないといけない事に気が付きました。
そして、既存カウルのラインにも合わせてる場合じゃない事にも気づきます。
何かを生かすのは良いのですが、ここは冒険する部分です。
ノーマルカウルも素材カウルも、どちらも無視した理想のラインを作ります。
両方の素材のカウルナックル周辺に存在する、柔らかいカーブが非常に邪魔です。
ここはスクエアな開口部を持ったカウルに思い切って修正します。
オリジナルのRDカウルの特徴は、80年代のGSX-R1100や750の様に、ナックル部分がかなりカウルの上に位置している部分です。
ナックルの一番尖っている部分をどこの高さに持ってくるかで、RDらしさを残せたり、その逆にもなってしまうのでかなり注意が必要な事が分かります。
四角い開口部にするのはいいですが、それに合わせたやや高めにセットするナックルは、元の形状を一度全部切ってしまい、新たに作った方が上手く行く可能性大です。
オリジナルのRDカウルは、とにかくぼんやりとしたラインで、優しいカーブが多いのが印象的。
これを現代SSに合わせる為には、オリジナルはしっかりとオマージュしつつ、丸いラインに残ったエッジ(マジックで書いた部分)を、少しだけ立ててやると、かなり雰囲気を残したままカッコよくなる気がして来ました。
のっけから大失敗しましたが、今後車両をまとめる為の、おおきなヒントを得ました。