小技を効かせる
カーボン用のUV対応樹脂を用意して、少し多めに硬化剤を混ぜます。
そう、誰でも出来る伝統技法(笑)カーボンオーバーレイで、少し遊んでみます。
フロントフェンダーの切っ先のみをカーボン素材で覆います。
カーボン繊維の目の奥に見える下地素材は必ず黒くしておきます。
そうしないと、チラチラと黒いカーボンの奥に変な色が出てきてしまいます。
一回目は素材にハケで樹脂を塗っていますが、ここで少し乾燥するまで待ちます。
直ぐに貼ってしまうと樹脂がシャバシャバなので、上手くカーボン繊維がくっついてくれません。
指触で樹脂が糸を引きベタベタして車でじっと待ちます。
タイミングが来たら、予め切っておいたカーボン生地の切れ端を張ります。
一度貼ってしまったら絶対動かしてはいけません。
幾ら綾織りでも動かすと目がよれてしまい、折角のカーボン生地が台無しです。
貼り直しなんて論外です。
上手く貼れても、すぐに樹脂を重ね塗りしてはいけません。
慌てない慌てない。
ハケはあまり激しく動かしたり、しごいたりせずに、樹脂を限界までハケに含ませたまま、ポンポンと素材に置きに行くように樹脂を回します。
表面張力ギリギリまでタプタプに塗ったら、ここで一回STOPです。
余った樹脂がボタボタと下に垂れるので、何か敷いておくといいです。
少し乾いてきたら、ちゃんと生地が素材にくっついているのかを確認します。
こんな風に回り込んでゆく部分などは、カーボン生地のコシが強い為、樹脂が浸透していても柔らかくならずに、離れてしまいます。
そのために、一回目の樹脂の接着力がMAXになるのを待っていました。
プロは専用のスプレーノリを使いますが、私は持ってません(笑)。
ここで樹脂の硬貨速度をコントロールする為に、ペイントヒーターなるものを使います。
赤外線出力1500Wのハイパワーなので、用心しないと家のブレーカーが簡単に吹っ飛びます。
30cm以上母材に近づけずに、適宜温めてやることで、樹脂の硬貨が進みます。
これをやらずに自然乾燥にのみに頼ると、付きっ切りになってしまい、1日潰れてしまいます。
ペイントヒーターを上手く使いこなせば、ものの数時間で作業が完了します。
樹脂は強制熱硬化させると、どんどん固まってゆきます。
カーボンの繊維は樹脂を纏うと、このように鋭利な針になってしまいます。
このような状態で手で触れていると怪我をしますし、うっかり転倒したり、倒れこんだりすれば、肉を貫通して大怪我です。
これはまだ始まったばかりの頃の生地と樹脂の様子。
樹脂が織目の凸凹を拾っており、薄い所と濃い所の差が激しい状態です。
この状態は、かなりいい感じで樹脂層が形成されてきています。
進捗率は50%と言ったところでしょうか。
生地の折り目の凸凹が見えなくなって行き、反射する光の筋が粒ではなく線に伸びてきました。
これがGoodな状態で、反射が減ってきました。
ここまで分厚く樹脂が形成されれば、ハードな削りに耐えることも可能でしょう。
完全にカーボン繊維を樹脂で閉じ込めた状態になっています。
カーボンと素材の境界線もツナギ部分として、樹脂を盛っておくことで段差をなくします。
油断していると、時々こんな風にハケの豚毛が抜け落ちるので、見逃さずに取り除きましょう。
ドロドロとした透明な樹脂に覆われた図です。
この後は完全硬化を待って、削り&磨きを入れてゆきます。
デザイン上の効果はちょっとしたことですが、作業には思いっきり手間暇かけて作ります。