CBR1000RR CB1100Rカスタム㊾

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HONDA
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カリブレーション:アッパーカウル12

薄造りにおろしたアッパーサイドのしなり具合を利用して、理想の幅に押さえつけます。
この押さえつけた状態で折り返しを作る事で、それらを固定することが可能になります。
最初から緻密に計算して作ればこんなことにはならないのですが、その「緻密な計算」はFRP成型には通用しないのが通説です。
硬化の過程で熱を伴う為に、幾ら添え物でサポートしても変形してしまいます。
ならば逆転の発想で最後に帳尻を合わせる方が、遥かに手っ取り早いという訳です。
それでも左右の動き方には違いがあり、思うように均一に曲がってくれないので、時には力ずくでミシミシ・・・・っと音がするまで曲げることで、硬化済のガラス繊維ヒビを入れ、強制的に曲がる様にしてやったりと・・・色々大変だったりします。

このように、アルミテープの張力だけでシンメトリーに左右のサイドカウルが綺麗に曲るなんて、通常は実現しませんので、良い子は真似しちゃいけません。

そんなこんなで、なんとか言う事を聞かせることに成功したアッパーカウル(改)ですが、延長接合部分に満遍なく削りを入れ、準備が出来ました。
ほぼ全周に渡る何らかの延長と、形状変更が施されますが、一回で築層は出来ません。
上下で重力のかかり方が違ってくるので、必ず部分築層になります。
樹脂が含侵する過程で重くなり、ガラスマットが自重に耐えられなくなってくると丸ごと落下したり、少しずつズレてきたりするためです。
何度も分割築層&硬化を繰り返しながら、少しずつ増改築は進んで行きます。

はい。長い時間と手間暇をかけて、アッパーカウルは生まれ変わりました。
最後まで手を付けずに残しておいたので、他のパーツたちは既に固定されており、そのためアッパーカウル本来の理想的な形や位置が、正確に判断することが出来るようになっています。
大型改修を一発で決める為、最後まで引っ張ったのでした。

おかげで、ナックル部分のラウンドスクエアな開口部は非常に美しくなりました。
スクリーンハイトも適正位置に戻り、車両にもマッチしています。
純正ミラーを取り付けると、大抵のオートバイは平凡に見えてしまうのですが、この状態での格好よさも担保されており、まずは一安心です。

純正クオリティの高さを十分に生かしながらのカスタムには相当苦労しました。
しかし、それだけホンダ車は、ノーマルの状態での品質が高かったと言う事実もあります。
バランスを一度壊して、新たなバランス点を見つけるのは至難の業でしたが、今回はかなり質の高い製品を送り出すことが出来たと思います。

コックピットからの眺めも上々です。
乗車姿勢で左右のミラーはしっかりと見えるし、ぶれることもありません。
ウインカーも内蔵しておりすっきりしているだけでなく、開閉も可能なので収納にも困りません。
高いレベルでの”当たり前”が実現できました。

カリブレーション:アッパーカウル13

アッパーサイドの最終形態はこのように見えます
カウルデザインは、何もかもを尻上がりに傾けてさえおけば良いものでもありません。
ここでは地面に対して完全に水平な丘を作っています。
コックピットの風景の中でも結構なボリュームを占めるので、見え方にも工夫しています。
サイドビューでも、余計な物が見えぬように配慮した形状です。

国内仕様のこのSP車両は、片方のエアダクトが閉じてあるダミーダクトであり、もう片方の細くて薄い開口部から唯一空気を吸っていたことになります(それでも123馬力です)。
今回エアダクトは左右共に取り外し、全解放(異物混入防止は行う)する事と決定しました。
開口面積は少なく見積もっても片側で4倍程度拡大し、それが左右なので7倍の空気を吸えます。
前方までダクトが伸びておらずとも、ライト横の左右スリットから十分な空気が常に入ってきます。

因みに、そもそもSC59には「ラムエアシステム」など付いていません。
ラムエアシステムとは、時速200km程度を維持することでエアボックス内を加圧状態にし、圧縮空気を吸い込むことで結果的に疑似ターボ化する機能の事で、最高出力が3%~5%程度アップする仕組みのことを言います。
どうしてもやってみたい人は・・・カワサキかスズキに乗ってやってください。

レトロなアイデンティティである折り耳は、小さく残しました。
薄く鋭利にすることで、ナックル開口部のデザインにも一役買ってくれています。
特段機能上のメリットはまったくありませんが、これはデザイン上の遊びです。
スロットルワイヤーの取り回しを邪魔しないように、張り出しを工夫してあります。

延長したナックルは飛び出しを抑えたラウンド形状として大人しく。
カウルTOPは、ミラーの開閉アクションの邪魔にならぬよう、カウル上で細かなレベル調整を行い、且つ障害部分をデザイン上クリアにしたため、スムーズな開閉が可能です。
純正のプラスオフセットに対し、今回はマイナスオフセットするのに大変苦労しました。

折り返し部分のラウンドとフレームクリアランスは、狙い通りピタリと完成です。
この辺の無駄な工作精度は、ホンダ流に倣っています(笑)。
エッジの角をほんの少し丸くしたりと、いろいろ手を加えました。
ホンダ車は、とにかく見えない所までしっかりと作ってあるので、ちょっとでも雑に作るとすぐに目立ってしまいます。
それらを崩さぬ様に、しっかりとデザインで寄せていきます。

さて・・・・またこのパテ砥ぎの時間が来てしまいました。
誰か替わって欲しい(笑)。
ああ、だれかー・・・・・・。

まだまだ続きます。

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