CBR1000RR CB1100Rカスタム㊿+15

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HONDA
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戯れ

色が違う・・・

塗装工程にはそれぞれにインターバルが挟まるので、その間に別な事をしています。
CBR1000RRーSPには、標準でブレンボのブレーキキャリパーが付いていますが、このモデルは「M4」と呼ばれるモノブロックキャリパーです。
大人しくガンメタやシルバーでいい物を、このSPに付いている物はこのように微妙に色が違います。
汚れたり、紫外線焼けで変色した物でもなく、最初からここだけ色が違います。
銀でもなく、金でもなく、どこのパーツとも違う色で、揃える気すらなさそうです。

一方純正のリアは真っ黒なNISSIN製の鋳物で、気配を消すのに必死な感じでした。
そんなに小さくならず、こっちへおいでよ!とお迎えしました。

せめて色を揃えてやろうかと考えます。
これはブライトシルバーメタリックと言って、1100KATANAのシルバーです。
フレークのきめが細かく、粒感の無いベタっとしたシルバーで、メタリック特有の奥行きのような物が出にくいクラシックな銀色と言った風情です。
うっかりすると銀ではなく灰色に見えます。

こちらは90年代のHONDAに使われていたライン用のゴールド。
カッパーブラウン調の赤みのあるもので、くすんだ金色と銅色の間のような色です。
金色と言うには少々暗すぎますが、今回の謎カラーには一定量こういった色が混じっていると考えられます。

こちらはアイアンシルバーメタリックと言うガンメタ。
これも1100刀の純正色なのですが、これはちょっと暗すぎます。
いっそこういう色一緒で塗ってくれた方が楽なんですが、そうもいきません。
これらの3色を使って調色してみます。

かなりの塗料を無駄にしながらも、なんとか辿り着きました。
上記3色を使えばこの通り、フロントのM4キャリパーと同じになりました。
艶が出過ぎなので、最終的には艶消しクリアーでコートする予定です。

リアキャリパーは可能な限り分解してからマスキングして塗装します。
モロ金属ですが、複雑な形すぎて足付けが困難なので、脱脂後にミッチャクロンで加工してから、薄く丁寧に塗り重ねます。
勘のいい人はもうお気づきですね。
NISSINのロゴはベルトサンダーで削って綺麗になってます。

突然登場する赤。
右は今回多用しているパールトィンクルレッドで、左がドカティレッドです。
全然違いますね。
フロントのM4キャリパーのあの文字は、きっと左の方の赤だと思います。

はい、少し暗めの赤であるドカティレッドでお化粧してフィニッシュです。
これで前後共にお揃いコーデとなりました。
すべて2液ウレタン塗料にて仕上げですので安心です。

本気と書いてマジと読む

さて、悪ふざけしているうちに、気が付けばシングルシートカバーが乾いていました。
これで仕上げ工程に進むことが出来ます。

傷がつかない様に目地にマスキングしましたが、どうでしょう?この美しさ。
シートとカバーは別々に塗装したのにも関わらずズレれも無く、満足の出来です。
年々塗装の腕前が上がってきているような気がします。

HONDAのウィングマークを切り出しました。
クラシックなモサモサの羽を辞め、最近のモダンなデザインに改めました。
タンクのロゴもこれに変更しますのでお揃いになります。

気が付きませんでしたが、新タイプのモダンな羽は旧タイプより高さがありませんね。
羽の段の数が少ない様でした。
新しくなり、なんだかちょっと小さくなってしまった事に、この時点でようやく気が付きました。

と言う事で最初からやり直しです。
少し大きめに作り直し、カウルに合う様にデザイン全体を上下を少し潰しました。
折角苦労して得た水平基調を、こんな所で失う訳には行きませんので、レイアウトには細心の注意を払い「しり上がり」に見えない様にも気を付けます。

リタックシートからカウル本体に移した直後の写真です。
シートとカバーを固定してからシートを貼り、現物合わせでカッターにてセパレートします。
ちょっとでも傷付けたら終了なので、緊張の作業が続きます。
所々でクリアで保護すればいいんでしょうが、時間が掛かってしまうのですっ飛ばしてます。

立体物に関してマスキングシートはかなり伸びますが、転写する際に使うリタックシートの方が全く伸びないので、実はマスキングシートの貼り付けは簡単ではありません。
立体裁断パターン作成の時と同じで、必要があれば思い切ってハサミを入れる必要もあります。
この程度の凹凸でもこんなにズレてしまいますので、結局マニュアルな作業が必要です。

実は、ウィングの透かしには「白」は使いません。
白や黒と言う色はあらゆる顔料色の頂点に君臨しており、他の色を淘汰してしまう程強いんです。
混ぜればあらぬ方向辺へと色を変化させ、塗ればすべてを覆い隠します。
透けて欲しくても、全然透ける気のない白を塗るのは、ここでは悪手でしかありません。
これを解決する為、今回はメインカラーになっているグラス・スプラッシュホワイトの「上塗りパールのみ」を濃く調整して吹き付けると言う方法を使います。
この上塗りの基材は無色透明ですが、パールの含有量が非常に多い色なので、単体で濃く吹き付けると目視で識別できるようになります。

様々な事を考慮・配慮しつつも、一撃で決めます。
色・バランス・諧調、全て整えて左右対称に仕上げました。
CG通り寸分たがわずに実現するには、このようにさまざまな知識や経験が必要です。
シートはいよいよ最終工程へ突入です。

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