破壊

私は真横から見たCGしか書けませんが、実際に作業をしてゆくと色々なトラブル(?)が発生するのは日常茶飯事です。
横幅があり過ぎて困ったり、取り付けネジの位置が変だったり、加工エリア周辺にハンドルを切った時に起こってしまう、取り回しの問題などが発生します。
その都度それに合わせてデザイン変更していると、結局元のCGが無駄になってしまうので、どうにかしてCGのイメージを担保しようと努力する(ごまかす)事に精を出ことになります。
実際の車両を作成するスキルとは、このごまかす為の引き出しであり技術です。
今回は、そんなスキルを総動員させざるを得ないような気がする”どデカイ”アッパーカウルを早速料理してゆきます。

Hayabusaのアッパーをよく見ると、カウルの先端は飛び出し気味のヘッドライトのレンズであり、カウルそのものが尖っているわけではありませんでした。
カウルはレンズを途中までしかサポートしておらず、ぽっかり穴が開いているだけ。
今回の加工を機に、ヘッドライトもユニットごとアレンジしようと考えています(何の車種にするかは未定)が、一旦は塞いでしまおうと考えています。
何故ってそりゃあ、どうしても「鐵隼」になった姿をこの目で見てみたいからです。
その”鐵隼”はオリジナルをコピーしたカウルでないことはおおよそ冊子が付いていますので、私なりの考察で変更を加えて行きたいと思います。
変更の肝になるのは大きく二点で、この先端部分のまるめ処理と、ナックルガードのエグリ位置を大きく変更する点です。
先端部分は僅かにショート加工されている筈で、それに倣って私も加工してみます。
長すぎず、寸足らずでもなく、「もしそこにレンズが無かったらなら」と想像した上で、丁度いい塩梅にまるめます。
そしてもう一点。かなり高い位置にあったナックルの頂上は、10cm下方向へと変更となる「深め」のナックルへと変更します。
エアダクトは残しつつも、Hayabusaの特徴であったウインカーホールは、思い切ってすべて埋め立ててしまいます。
ウィンカーの処理に関しては、通常のオートバイの様に作り直す予定です。

ABSで出来ているオートバイのカウルを自在にぶった切るにはこの2台が欠かせません。
一つ目は電動ソー。レシプロソーなどとも呼ばれています。
刃を木工用や鉄鋼用に交換することで、強力に切断します。
この電動ソーに”挽きまわし用”と呼ばれる特殊な短い両刃の葉を付けると、押しても引いても切れるようになり、且つ先端に向けて細くなるように絞ってあるため、3Dのカーブや曲線を綺麗に一発で切ることが出来るようになります。
電動ソーだけを買ってもこうはいかないので、カウル加工に挑戦したい人はおすすめです。
また、もっと細かいカーブや細工になると、さすがに電動ソーでは無理があります。
サンディングブロックで気長にやるのもいいですが、腕も手首もダメになるので、ここは電気やすりが便利です。
「ベルトサンダー」とか言えばカッコいいのに、なぜかRYOBIさんは「電気やすり」と言ってます(商標の問題でもあるのか?)。
ベルトは#150ぐらいが削れ過ぎなくて丁度いい感じですので、大量にストックしています。
そんなこんなで、切って切って切りまくります。
切ったら切ったで違う形に作るわけですが、それを考えるとちょっと憂鬱です。
大きいものは大きいままでと言いましたが、改めて見ると凄い大きさのカウルです。
創造
ナックルのカーブのエグリをかなり大きく切り出して、そこに折り返しを作りました。
抉ったナックルのカーブは、本体を削り取りながらスクリーンエンドまで立ち上がって行きます。
同時に、元々高い位置にあった、控えめなナックル部分は埋め立てられます。
ナックル頂上同士の比較で、-13cmと大きな変更でした。

もともと高い位置にあった純正アッパーカウルには、かなり角度を寝せた長めのスクリーンが装着されており、いかにも”高速ツアラー”と言わんばかりのデザインでしたが、そのナックルを大きく下げると言う事は、セパハンが似合うレーサーへと回帰する事を意味しています。
部屋の隅に転がっていたGSX-R1000用クレバーウルフのカウルについていた、レーシングスクリーンが格好良かったので、もったいないけどちょっとカットしてくっつけてみました。
スクリーンエンドを折耳にするのは私の趣味なのと、そもそもそれがHayabusaシリーズのアイデンティティなので、この辺にも面影を隠しておきましょう。

ご覧の通り、私が大の苦手とするパテ盛り作業は相変わらず下手なままw。
きっとプロなら、私が使ったパテの半分の量で済ますと思いますが、下手なんだから仕方ない。
多分この後、全身粉だらけになって作業するんだと思いますが、大分”鐵隼”っぽくなりました。
TOT車両が室内にあるかのようでニヤニヤが止まらず、しばし眺めてしまいました。

最初に見た時「ナックルが大きく抉りすぎじゃない?」と思われた方が居たかもしれませんが、それはこの、”広大なウィンカーホール埋立地”があって成立するように設定したのです。
面積が大きく、まだ少しイケそうな気配すらありますが、あまり抉ると、今度はメーター周りの配線が丸見えになってしまうので、この辺でSTOPです。

完成しつつあるフロントのサイドビューはこんな感じ。
まだ、バーハンドルキットが付いたままですが、この後で純正セパハンに戻します。
特徴的なサイドカウルのカットラインは、カウル取り付けの問題やシートとのデザイン統一の点から、実は何度か試行錯誤しましたが、一旦この形でFIXとします。
少し鐵隼とは変わってしまいましたが、このシートには、この位置でこの形がベストです。
Fフェンダーは切っているうちに「思い付いたアイデア」があるので、もう一回作り直しです。
「切る前に思い付けよ・・・・」って話なんですが、閃いたんだから仕方ありません。
近年は経験値が遂にMAXに達したからなのか?!徐々にCGを無視し始めたStudioQ。
このセレンディピティを、どうか温かい目で見守っていただけると幸いです。


