ZX-10R J/KをNinja化する⑤

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ライトステーを加工する

そもそもJK型のZX10Rのカウルブレース(俗に言うステー)は非常に特殊な形状をしています。
エンジニアリングプラスチックと言うとても硬い素材で出来ており、高剛性なエアダクトに対して、左右に羽を広げる様にアッパーカウルステーが伸びており、とどめにメーターハウジングにもなると言う、幾つもの機能が凝縮された不思議な形です。
素材の進化と共に、いかに軽量で最低限の強度は維持しつつコンパクトに仕上げるか?を追求した結果でしょうが・・・加工する私としてはドン引きです。
実は、この一つ前にEF型は、更に複雑怪奇でこれに更にスクリーンの支持ポイントまでが合体しており「もう!一体誰が考えたんだよ!」と突っ込みたくなるほどの「危ういバランス」で出来ています。
象の鼻・・・・・硬い金属のようなプラスチック・・・・どーすりゃいいんだい?って話です。

シャワーを浴びているとき。布団に入ったとき。朝起きた時。Web会議でカメラOFFなとき。
ありとあらゆる瞬間で、このカウルブレースの事ばかりを考えていましたが、全く答えは出ません。
3DCADの様に頭の中でグリグリと動かしてみながらシミュレーションするのですが、どうやっても「これで行こう」と言うアイデアは浮かんでこないのです。
いくら悩んでも仕方ないので、結局思い切って同じものをもう一つ買って実験することにしました。
まずは左右の耳をバッサリとカットし、エアインテークも外します。
今回の優先順位は・・・・
ライトのスペース > カウルを留める >エアインテ―クを生かす > メーターはどうにかなる
こんな感じで進める事にしました。

もうやりたい放題ですね。
象の鼻は根元からぶった切り、それだけでは飽き足らず、接合部分をギリギリ避けながら開口部をさらに広げています。
左右のカウルステーだったウィングはもぎ取られ、その面影を僅かに残すのみとなりました。

開口部をベルトサンダーでグリグリ広げたのには、ちゃんと訳があります。
そう、ここを空気の通り道にしようと思ったのです。

ヘッドライトの位置出し

象の鼻をぶった切る事で、一時的にはスペースが出来たので、まずはライトの高さや前後の位置などを正確に固定する必要があります。
そうしないと、連動してカウルの位置も決まらないため、結局何もできません。
まずはライトを固定して位置出しするためだけの簡易なステーを端材で作ります。

エンジニアリングプラスチックは、何も悪い事だけではありません。
かなり硬いけど、ナイフで鉛筆を削る様には削れるし、硬いので普通にねじ止めでも強度が出ます。
今回はドリルで穴を開け、ステーをボルト止めしてみたところ、ガッチリと固定出来ました。
実は、そんなことも考えながら、空洞が見えてくるまでカットしている部分があります。
加工していて思うのですが・・・・こりゃ量産化とかキット化は絶対無理ですね(笑)。

慎重にセンターを出さないと、最後の最後で全部やり直しになってしまいますので丁寧に行きます。
因みに、この角ライトのハウジングはGSX-1100Sの物を使っています。
正直GPZ900Rのライトハウジングは、物として非常にお粗末な物で、感心しません。
メンテナンス・構造・加工のしやすさなどの全ての面で、パーツとしての評価はカタナ用のライトハウジングに軍配が上がります。
私は常に状態の良い物が出ると、必要が無くてもストックの為に買っている位です。

カタナ用のライトハウジングは、その汎用性の高さと引き換えに、少し大柄です。
光軸調整用のつまみなどもゴツく、お世辞にもコンパクトとは言えません。
でもそのおかげでアレンジしやすいと言う利点があります。

さて、横から見ると余計にお鼻が気の毒な感じですが、これでライトの位置が出ました。
フロントアクスルの真上より少し手前まで来ており、デザイン上は狙い通りの位置です。
エアダクトの新配管はともかくとして、少し光が見えてきました。

改善と改良

簡易な位置出しステーで位置は出ましたが、固定方法にはまだまだ改善の余地がありました。
切断したカウルブレースに一部潜り込ませるような形に合わせて切り出し、凹凸にピタリとFITさせる事でステーが引っかかり動かなくなるので、ボルトのトルクだけで固定しなくて済むようになります。
いくらなんでも、そもそもはプラスチックですのでバカみたいなトルクで締め付ければ変形してしまいます。

さあ、これで新しいステーでも、ライトは同じ位置に固定出来ました。
ライトは、この時点では左右2点止めですが、カウルが完成すれば下からも加わり、最終的にはちゃんと3点止めになります。

これから追加されるカウルのクリアランスの事、ステー固定に関する工夫、不要な部分の大胆なカット、この後に続くであろうエアダクトの作成にもつながる様、色々と計算してステーが作られました。
全て綺麗な艶消しで染め上げるのが、今から楽しみです。 

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