デザインを徹底的に煮詰める
はい。ガンダムでもモビルスーツでもありませんでしたね。ただのバイクです。
いつまでもはしゃいでないで、そろそろまじめに仕事をします。
でもああやって、たまには発散するのも、良いアイデアを生み出すには必要なんですよ。
ホントホント。
大本命だったはずなのに、赤い奴の話が盛り上がり、スルーされていた感があった「仏壇」ですが、そんなことはありません。
裏では思い切り力を入れており、派手過ぎたり・・・・地味すぎたり・・・・を繰り返しながら、中々ストライクが取れなくて苦労していました。
実はシンプルでカッコイイバイクを作るのって、派手なバイクを作るより10倍難しいんです。
パッと見てすぐに目立つ「カスタムしまくりました」的な派手バイクではなく、遠目には地味に見えて全然目立たなくても、近くで見ると「おや?!」「何だこれは!」と、超カスタムマシンだと分かるような、そんな玄人好みなバイクを狙って試行錯誤しています。
はい、そんなわけで「地味で凄いバイク」。
ようやく出来ました。
これが私の考える、ZX-10Rベースで作る激シブNinja「お仏壇」です(今後は”お”を付けます)。
実はゴールドって物凄いバリエーションがあり、黄色いものや青い物、赤い物もあります。
それぞれに良さがあるのですが、今回はそんなゴールドでもあまり使われることの無い「青みがかった薄いゴールド」をチョイスしました。
世間一般では「シャンパンゴールド」なんて呼ばれていますが、あまりなじみが無いかもしれません。
全体的に、StudioQのメインテーマであるカフェレーサーらしく、モノトーンなコーディネートです。
それゆえ、細部の装飾もなるべく「彩度」を押さえたトーンで統一しています。
当然それは「白」にも言える訳で、アイボリーなどの黄色み掛かった白ではなく、青白い白をベースにパールを吹く2コートパールを採用(クリアも含めて3コートパールと呼ばれます)。
ハニカムパターンは俗に言うものでは無く、ZX-10RSEの純正パターンをオマージュし、ブラックの下地に対して、シルバーを薄く吹きかけるグラデーション塗装とする予定です。
そして最終的に、ホイールも同じゴールドで統一することにしました。
ブラックのホイールはシンプルで大変良かったのですが、ただでさえ黒いバイクなので、黒ずくめになってしまい、見ようによっては若干レーシーになりすぎる感があります。
しかし、ホイールをゴールドで統一することで、華やかになり親しみがわきます。
見て良し・乗って良し・弄って良しの三方良しがこれで完成しました。
神は細部にのみ宿る
フロントセクションをじっくり見てゆきましょう。
青く、どちらかと言うとシルバーに近いと言ってもいいゴールドは、モノトーンな車輛の雰囲気を壊しません。
ZX-10RのRの文字はゴールドで統一せず、ホワイトでレタリングされてます。
往年のNinjaロゴはペイントで行う予定であり、ロゴの中が、ガンメタからシルバーへのグラデーションになっています。
それぞれのグラフィックは、アッパーカウルを飛び出し、フレームを飛び越え、タンクまでつながっています。
カスタムペイントでなければ難しいこの演出を、あえて選ぶことで視覚的に少しだけアピールです。
ハニカムのグラデーションはアッパーのサイドと同じ処理で合わせます。
色々悩んだ結果、シートは何もせずに、ソリッドの黒で決めました。
バランスを取ろうと色々やりたくなってしまうのですが、そこは引き算の美学です。
ぐっとこらえて真っ黒です。
※ZX-10R純正のシートエンドを移植するかもしれません。
アンダーカウルもワンポイントでゴールドをあしらっています。
今回はかなりパーツが入っているので、ロゴを厳選し、選ばれしものだけをチョイス。
細かい事ですが、例えば「BEET JAPAN」の丸いロゴは、本来もっと小さいのですが、アクティブのAマークやブレンボの丸いマークとサイズを合わせ大きくしています。
当然色は使わず、3コートパールのホワイトのペイントで統一します。
※ ブレンボはブランドチェンジした新しいタイプのロゴを採用しています。
アンダーカウルにもこだわりがあり、ほんの少しだけリアタイヤに被る様な形状にしています。
安全を考慮して、大きくタイヤの逃げを取っているのですが、このリアタイヤに被る形状にまでした「長い船」形状を実現することで、腰高感が強まってしまいがちな、NinjaSwap車両に落ち着きを与えています。
ブレーキホースもカールさせるためにわざわざ長い物を用意しています。
これは80年代のレーサーレプリカへのオマージュで、わかる人には「ニヤリ」とする粋な演出です。
フロントフェンダーは、先端のみを少々延長して再作成します。
同時に一度中央で隆起させ、そこから一気にタイヤに被せることで、カットラインが上向きから下向きに代わり、アッパーカウルの前下がりなラインともピッタリ合います。
延長部分の先端はカーボンを使い、それ以外はブラックで塗装仕上げですので、フロント部分のみチラッとカーボンのワンポイントとなります。
フロントのアッパーカウルも色々とペイント出来そうですが、今回はシンプルにしておきましょう。
パテ埋め中のカウルの写真を使って、塗装した際のイメージ画像を作っています。
PhotoShopを使えばこの通り!真っ黒にしてみたシミュレーションです。
シンプルにカワサキのロゴのみとしながら、ホワイトのレタリングを一筆書きすることで、ラインアートにも見えますし、レース用のゼッケンの様にも見えます。
この処理は、古くはヤマハのYZF750、最近ではホンダのCBR250RRやドカティのパニガーレなどにも見られるよくある手法ですが、今回は黒い部分を「スクリーンの一部」にまで拡大している点がポイントです。
スクリーンが付いていない状態でのこのカウル形状は、切れ込み具合が鋭すぎて(長すぎて)、若干カウル自体の「強度に欠ける」と感じることがありました。
ここをカウルの一部として橋渡しすることで、カウル強度を飛躍的に上げることが出来るはずです。
後に追加される予定の、電動ステッピングタコメーターの裏側の配線もこれでスッキリします。
※スクリーンを塗るか、カウルとして作るかは今後検討
経験上、地味で凄いマシンは、パッと目の前に現れた時には分かりませんが、停車した状態で良く見ると、後からジワジワ来ますし、ドキドキしっぱなしで、その場から離れられなくなってしまいます。
このような小さな工夫を積み重ねることで、車両が放つ独特の魅力を作り出します。
そう。これこそStudioQの真骨頂です。