記念すべき50番目の記事が、いきなり毛むくじゃらのおっさんの手でスミマセン💦
まずはいつもの通り、フラットペースと7、エボニー3で5分艶の艶消し黒を作成します。
フラットペースは何の色にでも合わせて艶消しに出来ますが、配合比率と艶消し具合が必ずしも一致しない面倒な塗料です。
ついでに言うと、シンナー系とは違う独特な臭いが強烈なので、肺に入るとちょっとマズイ感じです。
硬化剤も通常の物を入れると艶が出るため、艶消し用の別な物を使うなど、艶消し塗装は特殊です。
フラットベース塗装の危険性は、その特性からクリアコートできないという点にもあります。
つまり埃などのブツが入ったら、そのままアウト!修正が効かないんです。
そのために、塗装ブースの中を霧吹きで濡らし、埃が移動するのを防ぎます。
ブース内ではファンが吸気しているので、塗装後には対象物を別な場所に保管しないと、近くにある埃が吸い寄せられてきますので、そこも要注意。
すぐにガンを掃除したいところですが、なるべく人間は動かず、ティッシュは使っちゃいけません。
自宅室内で塗装できるだけで、天候の影響を受けないと言うメリットはあるのですが、それだけではどうにもならない「素人の透明な天井」なる物がここに存在します。
真っ黒で意外と幅広なマフラーステーを、更に肉抜き加工するかどうか・・・・散々悩みました。
四角く抜いても、丸を大きさ違いで並べてもレトロでいいんですが、ここは一考しSUZUKIの遺伝子を組み込む事にしました。
モチーフにしたのはフランスの耐久チーム「Team Classic SUZUKI」です。
本来はクラシック車両を改造して耐久レースに挑戦するフランスのレーシングチームの名前ですが、今回作成のネオレトロ車両「赤いガチャピン」を言い表す言葉としてはピッタリだからです。
そもそもこの車両を作ろうと思ってCGを作成した際も、オマージュしたOLDレーサーがこのチームのGSX-Rでした(私は青いガチャピンと呼んでいる)。
唯一無二感がハンパ無いカラーですが、さすがにレア過ぎて共感が得られないと思い、考え直してGSX-R750のほうのYOSHIMURAカラーにしたと言う経緯があります。
話を戻します。
Team Classic SUZUKIのロゴをモチーフに、あれこれとPhotoshop上で弄ってみました。
パールトインクルレッドを刺し色にバランスを調整していますが、一方でロゴが配置できる位置から、どうしても幅は6cmぐらいがベストであることが分かりました。
感覚的に、このサイズでのこの意匠では、プロッターの切り出し能力の限界精度です。
作図して切り出しに何度か挑みましたが、案の定3度ほど失敗しました。
いずれもeの文字の中のカマボコ部分や、aの部分の中の丸部分が上手く切れておらず、抜けません。
4回目はかろうじて切り出しには成功した物の、今度は作業に失敗。
5回目からは切り出しを意識して、逆に作図側に修正を入れると言う荒業に出て(ムキになりましたw)そして、都合6回目にしてようやく抜き出すことが出来たのがこのシートです。
いかに小さかったかが、わかるでしょうか?
マスキングシートは抜き出した後、リタックシートに一度転写し、その後に塗装対象へと貼り付けてから、最後はマスキングシートを塗装対象に残したままリタックシートのみを剥がさなければいけません。
つまり、グリーンのマスキングシートはリタックシートを媒介にして、くっついたり剥がれたりする必要があるので、微細な物はその過程ではがれてくれなかったり、リタックに残ってしまったりと、中々上手く行きません。
ここは全てマイクロピンセットとLED装備の拡大鏡があることが前提となる、とても繊細な作業です。
ありとあらゆる創意工夫の末に、ようやく塗装するところまでたどり着きました。
このサイズのマスキングが出来れば、もうあらゆる物が塗装できる様な気がします。
マスキングしてから乾燥させ、マスキングシートを剥がすのにも様々なコツがあります。
大前提として厚塗りしないと言う事。
そして、シートをただ剥がしてしまうと、シートの上に載っている塗料の残骸が、塗装面に付着してしまい、台無しになったりします。
そのためには、どちら方向から何回に分けて、どのような角度で引っ張りながら剥がすと上手く行くのか?など、色々経験しないとわからないノウハウがあります。
難しい故に、それを試行錯誤するのもまた、塗装の面白さでもあると思います。
色々と能書きばかり書きましたが、カッコよけりゃそれでいいんです(笑)。
それが私の情熱であり、全てです。