プロトタイピング8:シングルシートカバー
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真っ直ぐな物、完全に平坦な物や同じ物を作るのは、金属ならば簡単でもFRPとなると訳が違います。
私は平滑にするために、アルミのフラットバーを使っています。
定規でやったりPP板でやったりと色々試しましたが、結局「動かないもの」=曲がらないものが最適でしたので、安価にやるならば角材とかでも良いのかもしれません。
どっちにせよ、シングルシートカバーの天板は大きく歪んでいるのでパテ盛りが必要な状態です。
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何度かに分けて大きくパテを盛ってゆきます。
様々なテクニックを使いながら綺麗に整形は出来るのですが、パテを大量に使う事によって、非常に重くもなってしまうので、そこが難点です。
型取りして製品を作れればいいのですが、このカバーは一点ものになるのでそうもいきません。
残念ですが、ニコイチで作らざるを得ませんので、重さは気になるところです。
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なるべく平滑にパテ盛りするのは、バーを動かすスピードにコツがいるなど難しいのですが、パテを盛れたら盛れたで今度は削らなくてはいけません。
削るのも一苦労で、長尺の硬い物でないと絶対に面が出ません。
便利なサンディングパッドなどがあるのは知っていますが、いちいちそんなものをポチってたら、お金がいくらあっても足りなくなってしまいます。
うちでは、転がっている木材に空砥ぎヤスリを巻いただけの物を使っています。
面ファスナーなども挟まずに硬い木片に直接ピタリと巻き、ピンと張った状態でタッカー留めします。
簡易なロングボードです。
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空砥ぎ用の専用ペーパーは、量販店でも一枚100円程度。
白っぽい波の様な文様が縦に入っている特殊な物で、パテを研いでいてもほとんど目詰まりしません。
そのペーパーの4分の一しか使いませんので実質は25円位です。
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手製ロングボードであまり力を掛けずに大きくストロークさせると、面白いようにパテが砥げます。
ずっと砥いでいても目詰まりしないので、頻繁に張り替える必要もありません。
タッカーで打ち込んだサイド部分もしっかり使えます。
時折目の向きを変えながら、サクサク削ってゆきます。
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毎晩の苦労の甲斐もあり、3日で大分面が出てきました。
バッチリ品質まであと一息です。
各部形状も見直して、統一感があります。
トラブル発生
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ある朝起きてみて見ると、とんでもない事に気が付いてしまいました。
ジャスト!で作ったはずのシートカバーを取り付けると、どうやってもシートに合いません。
取り付け方の問題なのか?!と思い試行錯誤しましたがどうもそうではありません。
あちらを立てればこちらが立たず・・・・と言った具合で、どうにも形が歪んでいる様なのです。
どうか見間違いであって欲しい。
嘘だと言って欲しい。
しかし現実は、いつの間にかカバー形状が歪み、あろうことか、左右対称ではなくなっていたのです。
いやあ・・・・これに合わせて各部を調整していく前で本当に良かった。
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道は二つに分かれています。
理想を追求して全てやり直すか。
部分的に修正して済ませるか。
そんなの最初から決まってる。全部やり直しに決まってる。
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そうと決まれば検証です。
一体何処で間違ったのか?
それは薄いPP板で仮型を作ってしまった事に起因しています。
出来上がったものが僅かに歪んでいた事、同時に、フロントのロック機構を車両に取り付けた状態で位置を固定出来ないまま作り進めてしまった点でした。
そのために、左右の開始点がズレてしまい、それぞれの帳尻を合わせるかのように、左右別々に修正が入ってしまった為、いびつな形なのに、なぜかシートカウルにはぴったりはまるカバーが出来上がってしまったという訳です。
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左右非対称なカバーは、大袈裟に言うとこの位違いました(実際はそこまでではない)。
シートカウルとのマッチング精度が荒かった時点で、一度立ち止まり見なおせばよかったのですが、納期を意識しすぎてしまい、チェックが甘かったのは失敗です。
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成功を拡大すると、数多くの失敗で出来ているなんて言いますが、もしそうであるなら、失敗というものは実質存在しないと言っていいのかもしれません。
早々に立ち直りつつ「せっかくやり直すのであれば、以前よりもっと良い物にしよう!」と考え始めました。
昔から、ただでは転ばないのが私のモットーです。
シートカバーは長く延長しましたが、引っかける金具の部分は純正の位置のままの為、実際は延長したカバーの真ん中くらいに位置しています。
このカバーを車両に付ける時は、一番後ろにある金具に引っかけてから、前の方をガチャン!とロックするのですが、この「引っかける」際には少しスプーンで抉るようなアクションになる為、引っかけ部分の先にある延長した部分がシートにぶつかって(擦れて)、脱着の邪魔になっていました。
これは怪我の功名とも言うべき発見でした。
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これらを解消する為には、引っかけ部分の所でカバーがストンと終わっていることが大事です。
延長した部分はシートカウル側に残して、カバー自体は短くすることを決めました。
これでカバーのカットラインが大きく変わる事になります。
残念ながら、シートカバー作りはまだまだ続きます。