ブラッシュアップへの挑戦

Hayabusaのリメイクを考えた時、カウルスワップは「悪手」である事を痛感しました。
このバイクの素性を知るだけに、GSX-R1000K1の面影が頭から離れないわけですが、一見するとツアラーを装っているこのHayabusaの走行性能の高さを視覚的に開放したくてしょうがない。
一旦割り切って、レーシーなアプローチを考えてみる事にします。

レースシーンでのHayabusa思い出すのは、この鐡隼(テツブサ)です。
Taste of Tsukuba(テイストオブツクバ)とは筑波サーキットで行われるレースイベントで、昔はDays Of Bike And Roses (D.O.B.A.R.)と呼ばれていましたが、今では一般的に「TOT」と略称され愛されていメジャーな草レースの一つです。
言わずと知れたカスタムバイクレースの国内最高峰で全国各地から腕自慢が筑波に結集する、素人頂上決戦ですが、同時にカスタムバイクが高みに到達する「憧れの聖域」ともなっています。
このTOTには制限があり、出場できるのは基本的に古いバイク限定です。
その制限の中に「鉄フレームである事」「エンジンが見える事」があげられますが、ハードチューナーは、最新式の高出力エンジンを選びながら、わざわざそれを鉄フレームのバイクに乗せ換えたり、凄い人だとオリジナルの鉄フレームまで用意して車両を作ってきます。
このテツブサは、後者の代表的な例であり、毎回ハーキュリークラスでは優勝争いを繰り広げている、TeamKAGAYAMAの代表的一台と言うわけです。

アッパーカウルは、印象的なカフェレーサースタイル。
「わかってるね」と言いたくなるような、エンスーな演出が憎らしいですね。
サイドから見ると、純正に対して妙な張り出しやコブも無く、スッキリとコンパクトになっているのがよくわかります。

よく見ると、ノーマルから起こしたアッパーを切ったことが分かります。
パイピングに沿った形状は純正に似て折るが、サイドカウルの面は一切うねりの無いプレーンなもので、卵の殻の様にシンプルで綺麗です。

ナックルのエグリはノーマル形状に比べてかなり下がっている、オリジナルな形。
低いセパハンに合わせた処理だと思いますが、よく見ると、ヘッドライトが無い分カウルの角度もわずかに変わっており、マジカルレーシング製のカーボントリムスクリーンが、立ち気味に装着されてることが分かります。

一方こちらは、カスタムされたHayabusaですが、ロー&ロングの印象が強いです。
腹を打ちそうな低いローダウンに、アップハンドルがセットされ「もう車乗っとけよ」と言いたくなってしまう出来栄え。
こんなに低くしてしまったら、逆に体重移動が出来ず、私は怖くて曲がれません。
1300ccのモンスタースクーターに見えます。

それでもめげづに、ため息をつきながら書いてみます(約10時間)。
プレーンなサイドカウルを強調し、くちばしも尖らせてみました。
曲線基調から直線基調への回帰がテーマでしたが、そこそこ上手く行ったのではないでしょうか。
サフをイメージした薄いグレーで描いたこともあり、造形がよくわかります。
エグリをちりばめ、直線と交差するリズムも心地よく配置しました。

クラシックなレーサーにはクラシックな装いを。
SUZUKIと言えばYOSHIMURAですが、何でもかんでも赤くすればいいってもんじゃありません。
青白のワークスもいいですが、L型フレームの名機たちへの劣等感が増すだけなので、少し外しの意味も込めて、フランスのTeam Classic SUZUKIをイメージしてみることにしました。

出来たは出来たんですが・・・・これでは筑波サーキット駐輪場に停めてある、TOTに駆け付けた、成金盆栽バイクそのものです。
長さはどうにもできないが、やはり車高はどうにかしなくてはいけないと痛感です。
私の作品にしては、随分と中途半端になってしまいました。
StudioQの作品は、常に「ぶっ飛んで」なくてはいけません。



