うわ!これ大変って言ってたじゃん。ホントにやるの?
だって、ここだけノーマルじゃカッコ付かないよ
そりゃそうだけど・・・大丈夫?
タンクサイドに左右に取り付けるサイドパネルです。色々カスタムしつつ、ここだけ素のままってのは何とも寂しいので何かしようと思います。
何をするにしてもスタントが必要なので、例のごとくゴミ置き場まで行って、綺麗な段ボールを調達してきます(笑)。足を作って自立可能にしておけば、塗装も乾燥も便利ですからね。
出来ました。ソーシャルディスタンスは取れてませんが、まあいいでしょう(笑)。台座は地続きになってしまいましたが、あとでチョン切りましょう。
カーボン製品作成の為に買ってた透明な樹脂を使ってカーボンオーバーレイを行います。
カーボンオーバーレイとは、製品に直接カーボンクロスを樹脂で接着して覆う手法です。
軽量化にはなりませんが、強度は激烈に上がり、且つカーボン製品特有の美しさがあります。
カーボンクロスは1m×1mで5000円程度する高価な物です。買うのに躊躇しますが、まあ実験だと思って良しとします。でも失敗はしたくない金額ですね。
カーボンクロスは驚くほど「柔らかい」ものです。畳んであった折り目や、手で強くつかんでしまうと、そこだけ折り目がほどけてしまう繊細な物です。取り扱いには十分注意しないと、使い物にならなくなります。
カーボンクロスを無駄にしないためにも、まずは型紙を取ります。これに沿ってカットしてゆきます。
カーボンクロスは切ってしまうと細かな
飛沫が飛ぶばかりか、それらを吸い込むと健康を害します。カットする際はマスキングシートを張ると防止できます。
マスキングに沿って裁ちばさみを入れてゆきます。念のため型よりも少し大きく切っておきます。
先に母材に樹脂を塗って少しだけ乾かしておきます。そうするとベトベトの接着剤の代わりになります。そのあとでカットしたカーボンクロスを慎重に貼り込みます。凹凸に沿って軽く手で押さえつつ、刷毛で気前よく樹脂を掛けて行きます。しっかりしみ込んで、しんなりして来たら一回目は終わりです。
樹脂が行き届いて行く様子を見計らいながら、ぶらーんとなってきた「要らない部分」を見定め、硬化する前にハサミでチョキチョキと切ってゆきます。同時に、中々母材に沿ってくれない部分に、隠し包丁ならぬ隠しバサミを入れ、出来るだけ母材に寄り添わせます。当然硬化する前に、裁ちバサミや刷毛はアセトンで洗浄しながら使います。
ある程度無駄な部分を切ったら、床屋に行ってきた直後の様にサッパリしてきました。母材に寄り添わせるためには、結構ドバドバと樹脂を使います。この段階では、まだあまり塗り重ねていないので、編み込まれたカーボン繊維のクロス部分の凹凸が「ボコボコ」となって表面に現れているのがよくわかります。このまま砥ぐと、凸部分のトップが見えてきてしまい大失敗となります。
3回目くらいの写真です。このあたりからヌルヌルとした表面となり、もうボコボコ感は無くなってきます。これを続け、砥ぎに耐えられるだけのクリア層を作り上げてゆきます。FRP用のノンパラ樹脂でもいいのですが、透明度が今一つで仕上がりが悪くお勧めしません。一方レジンは高すぎてこれまたお勧めできない。FRP用の透明樹脂が必須ですが、カーボン製品を自作する様に売られてますので、間違わず買うことが必要です。
片方分づつの樹脂を小分けに作り、片方づつ順番に作業して行きます。作業のインターバルはあまりおかずに、一回の塗布が20分間隔ぐらいで、垂れて流れてしまわないギリギリの感じで、ずっと続けてゆきます。
5~6回くらいの塗布で、まあ何とか砥げるくらいになってきます。あとはお好みになります。急ぐあまり、硬化剤を入れすぎると危険なので注意です。安全圏であっても危ないので、念のため監視します。この作業中は別の事が一切できません。
カーボンクロスの余った部分は、そのまま放置して一度硬化させます。完全に硬くなったらベルトサンダーを使い、原型通りになる様に、削りすぎない様に丁寧に削り取ります。そのあとで塗装に入ります。
硬化したカーボンクロスの鋭利なバリをベルトサンダーで綺麗に落とします。この際カーボンの飛沫を吸い込んだら大変なことになるので、マスクやメガネは必須です。体中に飛散した細かい粒子が突き刺さるので、FRP以上に痒くて痛いです。重労働&最悪の作業なので、ぜひ重装備+お風呂場にて済ませましょう。
あとはひたすら地味な作業を何時間も続けます。ここは根性を見せましょう。右手のトルクに任せて必死に砥ぎます。
樹脂はこんな風にボコボコに固まってしまいます。この樹脂は物凄く硬いので、これをすべて均するのは一苦労です。紙やすりだけでは気が遠くなるので、時には大胆に、金工ヤスリにてザックリと面を出し、その後で#400程度で慣らすといいです。
バリを取ったとはいえ、あちこちで樹脂が垂れツララの様になっています。カーボンが固められた繊維が一本じゅうたんに引っかかっており、それを素足で踏んで大出血しました。。。イテテ。
思いっきり端折りますが、2時間も必死にやると、片方出来ます。どんだけ削るんじゃ!!ってくらい削ります。ボコボコだわ硬いわで、もう最悪です。カーボンオーバーレイが流行らないのはズバリ、誰もやりたくないからです(笑)。
バリ取りもここまでやってようやくフィニッシュです。ベルトサンダーでは一瞬で削れてしまいますので危険。なのでここは全部手作業なのです。
裏側の見えない部分の処理もきちんとしましょう。樹脂はひたすら固いので、このへんは金属の棒ヤスリで均します。紙やすりの荒い番手でも、平滑な面を出すのには限界があります。
重労働の末ようやく片方が出来ました。左が塗りっぱなしの処理前、右が処理後です。砥いでいるときに、ほんの少しカーボン目地が出てしまったり、削りすぎてしまっても(少しテカってる箇所がそうです)実は後でカバーできます。この後クリアを塗装しますが、その際にクリアに黒を混ぜ込んだ「クリアブラック」を作って吹くといいんです。母材の折り返し箇所や、端の部分などに陰影を作ると、カーボンの高級感が増す上、細かなミスをカバーする事が出来るので一石二鳥です(これテクね)。
いかがでしたか?(・・・ゼイゼイ)。タンクとはこんな風につながり、随分と艶やかになります。
ただ真っ黒なだけじゃないマテリアルが入ると、目立ちますし高級感があります。
ちょっと大変だけどお金はかからないので、時間のある方は是非チャレンジしてみてください!