CBR1000RR CB1100Rカスタム⑫

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プロトタイピング シングルシート

さて、シャチホコさんにはご退場いただき、何とかプレーンに纏めようと思います。
カスタムマシンとは言え、使い勝手も考慮したいので、小物入れも装備です。
分かりやすく蓋を作って、純正ワンキーで開閉できるようにしたい所です。

大丈夫です・・・・・分かってますよ。これ、弁当箱みたいだって(笑)。
いいんですよ、これで。プロトタイピングってそういうものですから。
もっと抑揚をつけて、後端に向けて絞りを付けて、角も丸めて・・・・とかそういうのは後でいいんです。
スケール感だけを掴む練習みたいなもんです。

シャチホコを吹っ飛ばした後の状態はこんな感じです。
高速道路の工事が途中でストップしちゃったみたいな感じ。
横にも出っ張ってるし、ラインも違うし、どうにもつじつまが合いません。
マジックでラインを引いているうちに、真っ黒になってしまい、どこがカットラインが分かりません。
つ・ま・り、ここに正解のラインが無いと言う事を示しています。

正解が無いって事は、そこが丸ごと要らないって事。
スパーン!とカットしてしまい、その後で無理やり合わせるとこんな感じです。
大分検討の余地があるのは分かっていますが、ここは大体のサイズ感さえつかめればいいので、このまま一旦放置します。

さて、このシートだけを放っておく訳はなぜか?
それは、ここの長さ、角度、高さをを変えるだけで、雰囲気が「ガラッと変わってしまう」為です。
そのぐらい私にとっては「超危険部位」なので、ここは最後にしています。
あくまで経験上ですが、最初に決めて良かった事が一回もありません(笑)。

プロトタイピング アッパーカウル

顔面大改造中のアッパーカウルでしたが、こちらはディテールを追いかけます。
一番やっちゃいけないのは、カウルの位置が変わる度に、それに合わせて整形してしてしまう事。
これをやってしまうと、永遠に整形手術が続いてしまい、最後には一体何を作りたかったのかが分からなくなってしまう恐れがあります(実際にやった)。

大きく張り出したナックルは、デザイン上わざと上にしてるので、実際にハンドルをフルに切った時に、ブレーキレバーが来の位置とは、まったくシンクロしません(なぜか?は次のブログで)。
オデコのラインはエッジを立ててくっきり出した上で、その延長線上にナックルの膨らみのTOPが重なる様にレイアウトします。

ナックルの張り出しはそこまで大きなものでは無いものの、プレーンなカウルとの境界線をハッキリさせることで、アクセントにします。

純正カウルを残す部分と、造形する部分との境界線もクッキリさせて、アッパーカウルに表情を刻んでゆきます。
結果的に、ナックルを強調する広い丘が完成し、ワイド感を演出できます。
スクリーンの一部に掛かるゼッケンなどを、カラーリングで配するのも面白いと感じています。

ナックルの下部分で境界線をハッキリさせます(上は一体構造だから目立たない)。
昔は、YAMAHAのTZR250などでよく見られた雰囲気で、クラシカルな感じです。
RGV-Γや、古いGSXーRにも見られる上側に位置するナックルも、懐かしさを感じるところです。

そんなクラシックムード満々なナックルも、上から見ると槍型に見える仕掛けです。
オートバイが風を切って前に進む、一つの大きな矢印の様に見える様イメージしました。

そんなナックルのラインを大事にする意味でも、アッパーサイドの開口部との繋がりは重要です。
これまでは直線的だったものを少し湾曲させ、ある一点から曲げるような、溜めのあるカーブに修正します。

ベタベタと端材を張り付け、なりふり構わず形にしてきましたが、それもそろそろ終わりです。
纏まった重なりにカッターを入れて、丁寧に外して行けば、それは完成した型紙にもなります。
アルミテープとPP板の加工のしやすさは特筆ものですが、その上一気に型紙まで出来上がるという、一石二鳥な方法を昔なら採用しています。

不要な部分はようやくここでカットです。
細かいディテールを整える段階になるまでは、我慢して残しておきました。
どんな変更があるか分かりませんので。

一旦外したPP板を元に、新しい型紙を起こしてゆきます。
これが必ずしも正しいとは限らないし、複数の型を一つに纏めるのもこの工程の重要な所です。

三つを二つに、二つを一つに、そんな過程の中で気が付く「省略できること」もあります。
簡素化する事で、一枚のプレーンな面が出て来て、物事がより簡単になることが多いです。
これがプロトタイピングの醍醐味であり、やるべき唯一の理由です。

これは三つが二つになった位の姿です。
まだよくわからない形状をしていますが、突き詰めてゆくと、もっとシンプルになる筈です。

大きなパーツになってきました。こうすることで、二つを一つにするための方法が見えてきます。
一枚物で作れると筋がなくなり、綺麗な面が一発で出るようになるところがメリットですが、三次元に曲げるのはとても苦手。
少しならわざと歪ませたり、筋彫りを入れることで曲げますが、あまり良い手ではありません。
出来るかできないか?やるべきかやるべきじゃないか?考えながら進めます。
こればっかりは経験と勘です。

一体成型の道が見えてきました。
これによって、赤い純正アッパーの不要な部分も見えてきます。
PP板で作った部分と、赤いカウルの境界線もボンヤリさせず、きっくりとラインを残します。
こうすることで、表情豊かなフロントカウルが出来上がります。
どこもかしこも直線ばかりだと、ド素人感が出てしまい、なんとも見すぼらしい物になります。
シングルシートカウルの段ボール部分が、正にそうです。

先に私の頭の中では完成していたものが、ようやく世に出てきました。
約12時間、部屋の真ん中に座り込み、PP板を切っては貼ってを繰り返し、失敗作を山のように量産しながら掃除もしつつ、ようやく一本の道が見えてきた瞬間です(やったぜ)。
「ワンオフカスタム」なんて言うと格好はいいですが、やっていることは、飲み終わった牛乳パックをハサミで切って工作している子供たちと、なんら変わりません。
私はこの50年、全然成長してないという訳です。

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