ペイント①
このタイトルのナンバリングが50を超えると、丸付き数がシステム上打てなくなります。
そのため、ここからは+Xで表記しているのですが、概ね50回の記事を超えるあたりから、車両は確実に完成に近づいてきます。
51回目の投稿となる本稿を書くに当たり、万感の思いです。

サフを塗ってペイントしても、意外と面が荒れてたりするもの。
通常のライトグレーではなく、限りなくホワイトに近いサフに最近変えたのですが、これが・・・白すぎて全然凹凸が分かりません(笑)。
黒でウェットに吹いたら次々に荒が見えてしまい、あえなくやり直し中の図です。
材料高騰の背景によって、様々な資材の節約を試みる昨今ですが、とんだしっぺ返しを食らいました。
やれやれ。

そんな無駄な努力をしながらもドンドン推し進めます。
今回の車両のベースカラーはこの グラス・スプラッシュ・ホワイト です。
ちゃんとした青が結構入っている「青白い冷蔵庫の様な白」を下塗りしてから、これまた黄色くない「白いだけのパール」を吹く2コートパール(クリアも含めたら3コート)です。
暗い所では陶磁器の様な明るいグレーに見えますが、日光の下だとキラキラと眩しく光ります。
パールが強いのに虹色や黄色になったりせずに白く輝き、暗い室内ではMAZDAのセラミックメタリックの様にも見えて高級感があるので、最近のホワイトパールはこれ一択のお気に入りです。

Fフェンダーはノーマル改のオリジナルとなっており、カーボンのツートンです。
先端のカーボン部分はオーバーレイ加工にて後付けで一体化しており、この状態にクリアを吹くことでフィニッシュします。
フォークサイドを垂直に降りてくるカナード形状がかなりレーシーな一品です。
車体に取り付けた時にカナードが地面に対して完全に垂直になるように作られており、そのラインを境界線にして、先端のカーボンチップとが切り替わるデザインの面白さも併せ持っています。

こちらは、純正形状に強いインスピレーションを得た、純正延長加工アンダーカウルです。
純正マフラーの遮熱版と連続的に見えることで大きなアンダーカウルに見えます。
ただ単に形状を延長せず、エアダクトの位置は守りながら、膨らみあるカーブを殺して真っ直ぐに矯正してあります。
手前側は上に跳ね、奥側が下に跳ねており、現代アートの様にも見えます。

装飾もかなり凝ったものになる予定です。
左右でデザイン画違うクレージーパターンを採用しますが、全てのロゴはステッカーではなくペイントです。
ステッカーを使わないことで凹凸の無いスムースな面が出来、メンテナンスも楽になります。

各種ソフトを駆使して一つづつロゴをベクターラインに直してゆきます。
オリジナルの社名など、存在し無い物はオリジナルで起こしています。
ラインに直したものをプロッターに読み込ませてカットします。

カウルペイントに必要なマスキングシートをデザインし、切り抜き、リタックシートにセットします。
ここまで細かい物だと拡大鏡とピンセットが無いと剥がすことも移すことも出来ません。
一つ一つを膨大な時間を掛けて作成しますが、カウル転写に失敗したら全部やり直し。
ペイント後の剥離で失敗してもまたやり直しです。
気温や湿度に合わせた適切な吐出量の塗料でペイントし、適切なダウンタイムを置いて作業します。
カスタムペイントとは、経験と勘がすべての世界です。

このバイクのタンクはカバー式になっていますのでカバーを塗装します。
逆Rになっているエグリ部分などは、重いパールを含んだ塗料が自重で落ちてくるので、かなり垂れやすい形状です。
2コートパールは、上塗り塗料の隠蔽性は低く、重なり合う事で本来の色味を発揮しますので、垂れてきた部分を研磨したら色調がそこだけ変わってしまう為、少しでも垂れたら全部塗装し直しです。
これまた難しい塗装です。

タンクのホンダエンブレムは元々暗い赤系のエンブレムですが、タンクのペイントデザイン的に色数が多くなりすぎてしまいそうなので、ここは大人しくさせたくモノトーンに。
ライダーからの景色に大きなウェイトを占めるので、ここは慎重にかつ厳密に行きます。
別車種用の純正品をチョイスですが、ネオカフェらしく現代ホンダのモダンなWingの方にします。
タコメーター①

CBR1000RR SC59の後期モデルのメーターはデジタルメーターです。
オーナーと相談し、針のあるタコメーターが無いとどうにも盛り上がらない!と意気投合したので、後付けでタコメーターを追加することになりました。
今回は、日本精機株式会社のRACERGUAGEシリーズをチョイス。
このシリーズはコントローラーが必要無い為、様々な物に流用可能です。
時間と共にバージョンアップを繰り返し、現在はN2PLUSと言うものに切り替わっています。
電源OFF時には文字盤が暗く沈み、ONで浮き上がった後にオープニングセレモニーがあるモデル。
日本製のステッピングモーターが秀逸で、針の動きがとても滑らかな人気モデルです。
ホワイトの設定が無くなってしまい赤と青の二種類ですが、今回は青を選択します。

車の殆どは4気筒でこのバイクも4気筒なので、面倒な設定は今回必要無し。
万一違っても、ケース裏の穴から設定し直せますので、さして面倒でもありません。
ハーネスは長めに用意されている親切設定です。

固定はこの位置に。
SC59はとにかく色々な物が所狭しと詰め込まれており、全くと言っていい程「隙間」がありません。
散々悩んだ末に、ここしかないと結論付けました。
多少純正のメーターが隠れますが、それも含めて良い感じです。
純正のメーターホルダーケースを少々加工して、カウルブレースに取り付けられるようにします。

メーターを追加しますが、純正メーターまで必要となる配線は纏めて来ていると考えます。
そこから適宜必要な物にアクセスして、一連動させようと言う考えです。
配線もシンプルになるので一石二鳥です。

メーターカプラー内の配線を引ん剝くと、吐きそうなぐらいの配線が束になって詰まってます。
これがそれぞれどういう役目を果たしているかなんて・・・・見てもさっぱり分かりません。
そこでサービスマニュアルの出番です。

SC59のサービスマニュアル界隈の話は少々複雑で、年式によって全く違うものであり、第●版などと言うものがいくつも世の中に出回っています。
これは長くセールスされていて、前期や後期と言った方の違うモデルが存在し、国内仕様や海外仕様などに分かれている為だと思われます。
更に追い打ちを掛けるかのように、それらバージョンに対して追加補正版=追補版なサブマニュアルも存在し、いよいよもってカオスな事態になっていましたが、なんとかその中から後期型&国内仕様の配線図を手に入れました。

エンジンコントロールユニットとは、俗に言うECUのことです。
ザックリ言ってコンピューターなわけですが、車両全体の頭脳らしく、合計66ピンと豪華です。
一つづつよく見てゆくと、Bカプラーの17番に「TACHO」の文字が確認できました。
タチョ?ってなにさ?と思うかもしれませんが、津波がTSUNAMIであるように、海外ではタコメーターのタコをTACHOと表記することが多いんです。
今回用があるのは、きっとこいつに違いありません。

こちらはコンビネーションメーターですが、要するにメーターパネルの事。
28ピンと、先ほどよりぐっと優しくなりました。
親切に、ピンアサインもある程度分かるように書いてくれてます。

見ずらいので90度画像を回転させればこの通り。
先ほどのECUにあったB-17を、あみだくじよろしく追いかけてゆくと「TA-SIG」とあります。
これはおそらく「タコメーターのシグナルですよ」と言っています。
つまりエンジンが回転することで都度ピックアップされる信号=パルス信号は、この「黄/緑」で確定という訳です。
他にも気になる配線をいくつか抑えておきますと・・・・
●IGN=イグニッション 電源のONとOFF信号 >>>茶/白
●BATT=バッテリー 要するに+ >>>赤/緑
●GND=グランド>アース 要するにー >>>緑/黒
…と、この辺でしょうか。
こんな風に考えると、英語のサービスマニュアルからもある程度情報を引き出せます。
バイク界隈全般に言えることですが、茶色はイグニッション、赤は+電源、黒はマイナスアースだと思っていた方が良いです。
今回も色が混じってはいる物の、見事にそうなっていました。

さて、肝心の追加メーターの方の配線はどうなっているでしょうか。
旧モデルに比べ、ワーニングキープランプなど色んな機能が無くなって買いやすくなった本品は、それに伴い配線もいたってシンプルです。
ここに書いてあるセンサーとはタコメーターの場合、パルス信号の事。つまりはTA-SIG。
あとはそのまま接続ですが、イルミネーションはメーター配線内にはありません。
これはキーオンでイグナイトする前に点灯するものが最適ですが、馬鹿正直に考えるとヘッドライトやテールランプのポジション灯あたりが適当かと思います。
しかし今回は、メーター配線から短く取りたいので、IGNと一緒にしておこうと思います。
このように、一見難しそうに感じますが、電気信号と言うものは、理詰めで追いかければあっさりと答えを返してくれて、それを後で裏切る様な動きもありません。
人間のように、同じ言葉でもニュアンスが違ったり、あとから気が変わったりしない分だけ、とても簡単です(笑)。