CBR1000RR CB1100Rカスタム㊿+18

スポンサーリンク
HONDA
スポンサーリンク

ペイントフィニッシュ

一部のカウル裏をブラックアウトします。
アンダーはクリアー塗装時のゴミ噛みが多すぎたので、最初からやり直し。
ついでに幾つかの表面上の継ぎはぎを消すためにパテ盛りし直しました。
ゴミ噛みは、ブースの養生をその都度交換しなかった私のミスです。
何事も慣れてきたころに大きなミスをすると言いますが、本当ですね。

アッパーは特に目立つのでカウル裏もしっかりと黒く染めます。
裏はガンではなくハケで行ってます。
慎重に刷毛塗りしてもはみ出しは出るので、シリコンクリアなどで丁寧に拭き取ります。
その為、クリアーをしっかり吹いておき、完全硬化させておきます。

ホイールペイント準備

前後ジャッキアップして、少々苦労しながらホイールを脱着します。
DISKやタイヤが付いたホイールはかなり重く、腰を痛めそうでちょっとピンチでした。
この後馴染みのバイク屋さんに頼んでタイヤを外してもらうので、バランス用のウェイト、ブレーキDISKやABS検知用のDISKなど、予めすべて取り外しておきます。

タイヤを外した直後のホイールは油まみれ、汚れまみれです。
ホイールの内リムには、ビードストッパーの糊がこびりつき、タイヤビードOILやチェーン油など・・・・おおよそ塗装に邪魔な物がすべて付着しており、こびりついているのでパーツクリーナー程度では永遠に落ちません。
ホイールを傷をつけずに、数種類の薬品を使って溶かしながら、時間をかけて丁寧に脱脂します。
BOXティッシュを合計3箱も使い、指でキュキュっと鳴くまで頑張りましたが、もうこの時点で汗びっしょりです。
手がつりそうで握力もゼロ。ノックダウンでゴザイマス。

力仕事も終わったので、シャワーを浴びて着替えたらマスキングです。
そこまでやる?!と言うくらい変態的に私は細かくマスキングします。
一応言っておきますが、別にそれが好きな訳じゃないんです。
そうしないと、最終的に大ブーメランを食らうのは自分だと分かっているからです。
悲しい思い出ばかりなので割愛しますが、手を抜くと後で苦労する・・・これホントです。
そしてコレが出来ない人は、ハッキリ言って塗装作業には向いてません。
適正な料金(ちゃんとした所なら前後で5万程度)を支払って、やってもらいましょう。

フロントホイールもこの通り。
DISKの接触面はしっかりマスキングし、塗料から平滑面を守ります。
もちろんベアリングやシール部分も保護します。
マスキングは時間がかかっても大いに結構。ここだけは、時間も手間も問題ではありません。
同時に、この時点でホイールのコンディションをチェック。
5点ほど飛び石での剥げ、欠けを確認しましたので、ペーパーで消せる範囲まで追い込みます。
可能な限りアルミパテは使いません。

ホイールの足付けを軽く行い、その上でダメ押しでミッチャクロンを塗布します。
ミッチャクロンをスプレー缶でやれば、恐らく7000円くらいの出費です。
液剤の吐出量が調節不可能なので遠くから薄く吹くことになり、綺麗に吹くには内容物がかなり無駄になります。
しかし、原液をガンで吹けば、倍以上の容量が同じ値段で買えますし、調整も自由自在。
その代わり、吹き終わったらガンは入念に洗浄しないと、次に塗る塗料に液剤が入り込み、光にかざすと虹色に反射する様になってしまいます(経験済み。かなり弾きます)。
諸々のハードルは若干上がりますが、道具とスキルがある人にはこちの方が経済的です。

ミッチャクロンを細吹きして、乾燥させながら重ねます。
乾燥が早いので、そこそこの濃度で離れたところから吹けば、吹いた傍から乾燥していきます。
気温が20℃程度あれば、5分と待たずに指触乾燥レベルになりますが、実際の塗装までは20~30分くらい空けるといいです。

ミッチャクロンを細く吹き重ねる事で、丁寧にウェット塗りします。
言ってしまえば「透明なサフ」なので、厚塗りする必要はありませんが、色が無く見えないだけに何度も何度もいろんな角度から、強弱をつけて吹き付け塗り残さないように注意が必要です。
因みに垂れたらやり直しです。
ソリッドならまだしも、メタリック色は下地の凹凸を全部拾ってしまいます。

ホイールペイント

今回ホイールに使うゴールドは、特別に調色したものです。
ホイール2本を吹くのにそんなに量は必要ありませんが、500gが最小なのでオーダーしました。
概ね7000円くらいでどんな色でも作ってくれる業者さんなので、長い間お付き合いしています。
細かいシルバーの粒子が大量に含まれるメタリックに、透明なカッパーブラウンが混ざっています。

これが実際に塗った色になります。
これ、どこかで見たことある色じゃありませんか?

そ(何がじゃ)。
1988年にHONDAより発売された「NSR250R-SPモデル」に採用された、日本軽金属(株)との共同開発により、当時世界で初めて実用化されたマグネシウムホイールの色なんです。
今回は、この色を塗料で完全再現してもらいました。
電話で、私のかなり細かい注文を、辛抱強く延々と聞いてくださった社長・・・本当にありがとう(笑)。

この微妙で繊細な色は、ちょっと気を許すとすぐに分離・分解してしまいます。
それだけシルバーの粒子が細かく「シャバシャバ」として粘度が低く、柔らかい色ってこと。
少なめにした薄め液のシンナーをカップに入れた瞬間に、こんな風にシルバーがゴールドから分離してしまいます。
よーく混ぜ混ぜします。

逃げるシルバーを何とか捕まえながら、少量ずつ素早く混ぜ合わせてガンのカップにIN。
蓋がしっかり締まっていることを確認しながら時々シェイクし、ササっと塗らなくてはいけません。
ササっとと言っても、垂れるので慌てちゃいけません。
ここでもかなり薄く塗らなくては駄目。
挙句にこのゴールドは隠蔽性がすこぶる悪く、下地になっている目の覚めるようなオレンジ色が透けて見えてしまいます。
そこでムキになり一気に厚塗りすれば、恐らく一瞬で垂れてしまいます。
ソリッドではないメタリック塗料は部分修正が出来ないので、一回垂れたら全部やり直しです。
つ、ま、り、この塗料は一言で言うと、一発勝負系の大変「塗装屋泣かせ」の塗料という訳。
合計10回以上のインターバルを挟みながら何度も何度も薄く塗り込まないと、綺麗に塗装出来ないゴールドなのでした。

鋳物でロゴが入っている部分も立体的で結構高さがあり、止め吹きしたくなりますが垂れてしまいます。
様々な方向から何度も吹き付けないと、影になる部分が上手く染まってくれません。
中空で穴が開いているハブ部分も板厚があり、板の断面も360度しっかり吹かないと染まりません。
そんなに塗装空間に自由度も無く、ガンも小型とはいえ邪魔ですので、うっかりすると吹いている最中にガンがホイールに接触してしまいます。
ありとあらゆる角度と距離で、遠くから薄く・長時間吹かないといけないので、腕がパンパンです。

染まりの悪い蛍光オレンジに対してひたすら極薄のゴールドを塗ること約30分。
もう腕が・・・手が・・・限界です。
オレンジがゴールドに反射して目がおかしくなり、染まっているのか判別がつきません。
ガンのカップの中で、先に沈んでしまうシルバーが先に出て来るのか??銀寄りの金です。

重ね吹きする事で色味を調整しながら、隠蔽出来たと感じた段階で、一旦片側を終了します。
通常の塗装では、ちょっと考えられないほど時間がかかりました。

ホイールはほんの僅かに浮かせています

すっ飛ばしますが、根性で両面の塗装を終了しました。
どうです!まんま、あの頃のSPマグネシウムホイールです(アルミだけど)。
これを艶の有るクリアーで閉じるか?、艶消しにするか?テストして決めたいと思います。

今回は、リム裏まで塗っていますが、特にリム部には厚く塗料を載せています。
当然アタックされたら塗装は剥げますが、せめてもの抵抗です。

リアホイールは、塗料も時間も筋力も集中力もフロントの2.5倍必要です。
フロントで慣れた事によって、リアはどうしても感覚的に急ぎがちですが、そこはグッと我慢。
同じ塗料の吐出量・空気圧を維持して、じっくりと塗装を続けます。

ここでトラブル発生。
あまりに長い時間連続で吹き続けたので、コンプレッサーが熱を持ちすぎてしまい、安全装置が働いて停止してしまいました。
加えて、温度差からため込んだエアタンク内に水分も発生。
ガンからブシュブシュと音が発生し、吹いた塗料に水が混じるようになってしまいました。
ホイールデザインから、ある程度作業は大変だとは覚悟していましたが・・・・散々です。

海千山千乗り越えて、終わってしまえばこの通り。
セオリーやタブーを正しく知っていれば、ここまでのクオリティで塗れます。

タイトルとURLをコピーしました