MEGAツアラーの歴史
結局のところ、Ninja40周年の記念年には、GPZ900Rは復刻されることはありませんでした。
当たり前ですが、メーカーですから新しい物を作り続けるでしょう。
いつまでもガンダムが好きなまま歳を取ってしまう様に、それほどまでにGPZ900Rは当時の私たちの心を掴み、いまだに離しません。
そんな思いを引きづりつつ、KAWASAKIのリリースしているMEGAツアラー路線でNINJAカスタムが出来ないかどうかを考察してみます。
言わずと知れたMEGAツアラー、ZZR1100はSUZUKIのハヤブサと競い合いながら、時速300kmでクルージングできる高速ツアラーを目指して進化し続けました。
メーカーの威信をかけたバトルでしたが、結局はHAYABUSAに軍配が挙がったように思います。
2000年に発売されたZX12Rは決してZZRの後継ではありませんでしたが、大排気量車で高速クルージングも出来れば峠も走れると言う「何でもかんでも最強」を目指した車両としては同じ種です。
ただ、最大のサプライズはバックボーン型モノコックフレームの採用でした。
この後、後期型で乗りやすく進化したB型ZX-12Rは今でもプレミアムが付いている程人気があります。
少し時間を置いてZZRを冠した1400が発売されましたが、ZZRとは言いながら12Rのバックボーン型モノコックフレームを踏襲しており、ここでZXの血統とZZRの血統がまじりあいました。
海外ではZXー14などとも呼ばれ、完全にZX-12Rの進化型となっていました。
ZZR1400をブラッシュアップする形で発売されたZX-14R。
販売戦略の為か?ZZRなのかZXなのか?迷いも見えましたが、ZXに収まったようです。
大きくは変わっていない様に見えますが、事実ZZR1400のネガを潰す形でのフルモデルチェンジ。
ZZR1400のセールスが好調だったことを裏付けています。
特徴的なメカニズム
さて、このシリーズ(ZX12R以降)の最大の特徴はバックボーン型モノコックフレームです。
エンジンの横ではなく「真上」をフレームが通って行くことで何がいいのか?
大きくなり続けるエンジンの幅はしょうがないとしても、それ以上バイクを横に太らせないための効果があります。
さあご覧ください、これが現代のバイクデザインを蝕む構図です。
キャブのように横ではなく、エンジンから上に伸びて行くインジェクターノズル。
それを避ける様に上に逃げるフレームと、更にそれを上に逃げるガソリンタンク。
インジェクション化されたバイクは皆、昭和の様な水平なガソリンタンクを持たず、ラクダのコブのようになっています。
フレームに中途半端にしがみつくように存在するガソリンタンクがあり、そのタンクはシートの下にまで潜り込むような形で垂れさがって来ています。
更にドミノは続き、今度はシートレールがとんでもなく下の方から生えています。
モノコックフレームは車幅を抑える為の切り札だったはずですが、フレームを貫通するラムエアシステムだけは、左右から周り込むようにして取り込んでいます。
私的には、ZX-10Rで魅せたような真ん中一本で貫通してもらいたかったところです。
これでは車幅を抑える効果が薄れるため、カウススワップ上の障害になります。
カスタムベースとしての可能性
大きくて長い、堂々としたグランドツアラーらしいプロポーションは分かりやすく「高級」です。
現代の短いバイクには無い、佇まいを感じることが出来ます。
低くて肉厚のシート、少し高めにセットされた丁度良いセパハン、足つきのよさそうなシート高。
旅に出る事を躊躇させる要素が無く、ワクワクします。
見た目にインパクトが無くなりますが、これが懐かしの名車を纏ったらどうでしょうか。
鈍重なイメージのある(実際にも相当な重さ)マフラーを、片側一本出しにするだけでもこの軽快さ。
大きな排気量のオートバイは、エキパイを敢えて見せる形も良いですね。
今回は、ZX-14Rと言う高品位なMEGAツアラーを素材に、Ninjaカスタムについて考察します。