最強アイコン「Ninja」
Kawasaki GPZ900Rは、映画TopGUNでトム・クルーズも駆るなど、その人気はワールドクラスです。
しかし、ゴリゴリにカスタムしたとて高級外車が帰る程、この旧車につぎ込むことも出来ません。
仮に、すべてのパーツを交換して、エンジンもチューンしたとしても、現代のバイクには到底かなうものではありません。
そこで発送を逆転し、現代のバイクをGPZ900Rと融合させることで、最強のGPZ900R(900ではないけど)を作ってみようと思います。
構造の理解
JK型もいいのですが、フレームの下に隠れているエンジンの見え方が、あまりよろしくありません。
カフェレーサーの様に、けっこうエンジンやフレームがっ見える様になる筈なので、ここはじっくり検討し、2008~09年式のEF型に絞り込みました。
このように、EF型は御覧の様にオーソドックスなレイアウトで、補器類もそんなに醜くありません。
シートレールが相当に跳ね上がっており、シートもレールの谷間を埋める橋の様に掛かるので、着座位置がかなり高いであろうことが予測されます。レプリカの中でも競技志向に振ってあり、非常にコンパクトで軽量です。
ラムエアの助けを借りれば電子制御なしの200馬力ですので、相当パワフルなマシンです。
SuperNinjaのドナーとして、文句はありません。
まずは気の赴くままに筆を進めてみます。
取って付けたような感じが拭えず、ちょっと苦労しました。
低く構えるのは格好がいいのですが、どうもアッパーカウルまで変形させてしまい、10Rのプレスラインに寄せてしまうと、もはやGPZ感が無くなってしまうようです。
気を取り直しながら、いくつかスケッチして、ようやくまあまあかな?と思える感じになりました。
サイドカウルを下方向に伸ばしてボリュームを作りながら、フレームを完全に覆わないことで、逆に自然な感じになることが分かってきた段階です。
デザインを落ち着かせる為に、適当にアンダーカウルを書いていますが、これならない方がよさそうです。
GPマシンを参考に彩色してみたものがこちらです。
いかにも「カワサキ大好き」な感じが出ていますが、カフェに置いてあるならまだしも、さすがにこれを普段着で乗り回すのには、ちょっと抵抗がありますね(笑)。
ここまで来てしまうと、もうサーキット専用で目立ちまくってほしいぐらいです。
これでほぼ作成は決定!SuperNinjaプロジェクト始動です!。
アッパーカウル加工
GPZ900Rのアッパーカウルを、他車種に成形せずに装着できる訳がありません。
殆どの場合は今のバイクの方が幅があるので、カウルスワップは基本的に「大きくする」さぎゅおになりやすく、その過程においていかに自然に車両へマッチングさせるか?が重要です。
早速ドナーとなる素材を手に入れました。今回は純正のABSカウルを溶着しながら成形する方法を取ります。綺麗にカスタムペイントがされているので気が引けますが、これを切ったり削ったりしながら、理想の形へ近づけて行きます。
10Rのスクリーンユニットはコンパクトにまとまっており、すべてが連結して一つのパーツとして車体に取り付けられるようになっています。このユニットに手を付けなければ、大幅に作業が楽になるのと同時に、ラムエアなどの機能を失うことなくSWAPする事が出来るかもしれません。挑戦する価値はあります。
その前にセパハン化する事にします。ある程度のラインを引いたら、型紙を取って左右同じようにラインを引き、カットする位置を決めます。結構大胆にエグる事になりそうです。切って残ったパーツは使いますので、変に切ってしまわぬよう、想像力を働かせます。糸鋸で丁寧に切断して、棒ヤスリで整えました。これだけでもかなりシャープになる印象で、テンションが上がります!。
理想はこんな風にドッキングしたいですね。ただ、このままでは逆にハイトが上がるので考え物です。ま、格好いいんですけど。
車体に合わせてラムエアのスペースについて考えてみます。何度も位置合わせして「ここだ!」と言う位置を出します。しかし、あちらを立てればコチラが立たず・・・要するにクリアランスを取れば、アッパーが顎下がりになりすぎてしまい、格好は良いのですが、フロントフェンダーがボトムした際に当たってしまうので危険です。
車両へのフィッティングをした際に、ラジエーターコアが邪魔で、ナローカウルが差し込めない問題が発生していました。そこでまずはカウルをカットしてみます。
インナーカウル加工
フロントのラムエアダクトカウルにも変更を加えます。
下の部分は必要なくなりそうなので、大胆にカットします。
様々な制約の中でのバランを取ってみましたが、絶対に無理ではなさそうです。
しかし、格好がいいか?と言うとちょっと無理やり感が否めません。
ワンオフの醍醐味は、なんといっても「現車合わせ」です。
金鋸を手に、愛車を切断する様子は正気の沙汰ではないのですが、そんなことはお構いなしです。
ザックリでいいので、どこにもぶつからず、ちゃんと機能しそうなところまで切り取ってゆきます。
スクリーンも上手くいきそうですがもう「後には引けない」感じになってしまいました(笑)。
ラムエアも切ったり貼ったり試行錯誤です。
格好悪さは弧を描くまるいラインでしたので、ここをスパッと切って真っ直ぐにしてみます。
ハンダで溶着しつつ、プラリペアでガッチリと補強しました。
なかなか精悍な感じになりそうで、ワクワクします。
フィッティング
10Rのカウルも一部切り取って来て、もう引く返すことが完全に不可能になりました。
サイドの張り出しや、カウルの開口部などを見直しながら、ラムエアやスクリーンを完全に融合させてゆきましょう。
完全に位置が出ました。とても気持ちいいです。
早速、溶着して固定させてゆきます。
ABS樹脂は熱に弱く、はんだごてが一本あれば溶かし込むことで溶着可能です(強度はありません)。
それゆえ、カウルの端材を接着剤代わりに、簡単に造形が可能です。
ただし、大分匂うので換気には十分に注意してください。
段ボールの気れっぱしと、アルミテープと棒ヤスリ一本で、何となくを形にしてゆきます。
この時点でGPZ900Rのサイドの折り返しはバッサリと切り落とされ、前方深く直線的にえぐり取られているので、セパハンもしっかりと機能します。
ラムエア開口部の加工UPです。台形にすることで全体に合わせてあります。当初はここだけ円形だったので、違和感バリバリでしたが、大分マシになりました。
レベルを合わせる為に何度もパネルを溶着し直して、最後はパテで面出しです。これが地味に苦労しました。
ノーマルを切り刻んで溶着し、何事もなかったかのように合わせてありますが、角度も形も私の好みに合わせ、折り返しは鋭角にしてあります。10Rのカウルステーがピッタリ入らなくて、実は2度やり直してます。
サイドカウル延長
サイドは延長させてマッチさせようと思います。
お裁縫と一緒で、型紙を切り出して段ボールに写し取り、それをアルミテープで固定しモデリングします。
段ボールアートみたいですが、これで「見え方」を手軽に確認することが可能です。
考えるより手を動かした方が早いって事がありますが、まさにそれです。
カウルの強度を出すための折り返しも段ボールで作ってゆきます。
だんだんできてきました。
長さが短く感じてしまい、結局3回も作ってようやくいい感じになりました。
段ボ―ルはお金もかからないし、簡単に加工できるので万能です。
FRP加工する
ABSとFRP(樹脂)は実はとても相性がいいんです。
きちんと荒らせば、樹脂はガッチリと食い込んでくれますので強度も問題なしです。
ベルトサンダーなどでしっかり荒らしておきます。
FRP貼り込み用のパレット代わりに。またまた段ボールが活躍してくれます。
養生テープを張り付けるとくっつかないし、捨てるのも簡単です。
そんな要領で段ボールアートにも養生テープを貼り、それをアルミテープで固定します。
精度はイマイチでも、型紙要らずのお手軽FRP成型方法です。
一個しか作らないなら、これで十分です。
FRPが貼り終わり、硬化してきました。
低収縮の遅乾性樹脂だと反り返りが少なくていい感じです。
カウルの折り返しも出来ました。
ベルトサンダーでバリ取りをしましょう。
サイドは複雑な形状でしたが、上手くできているようです。
これもバリを取って、幅を整えますが、削り過ぎにご注意です。
薄くパテを盛り化粧したら完成です。
今回は、一度は分離したカウルたちを、折り返しを付けたうえで再度接合しました。
10Rの幅広なラジエーターを回避するには、左右ここまで出さないと無理でした。
サイドカウルは緩やかに抉りのある逆反りカーブしているなど凝っていて、取って付けた感のない純正品のような雰囲気です。
いかがでしたか?
こんな風に、FRPを貼って行きながらオリジナルカウルを作ってゆきます(私は)。
あなたも世界に一つしかないオートバイを作ってみませんか?