空間をデザインする
随分とたいそうなタイトルを付けてしまったけど、本当にそうなんだから仕方ない。
例えばココら辺のこと↑。
カチ上がっててイカツイ!と喜ぶ人も多いと思うけど、私的にはちょっと違う。
カチ上りがちょっと過ぎる。ほんの僅かですが”違う”。
これだと、ベストじゃなくてベターでしかない。
それじゃ平行になってりゃいいか?と言うと、そうでもない。
純正ならそれでいいかもしれないが、カスタムバイクな感じは残したい。
けど、前述の通り、このままだとバランスを崩しすぎに感じる訳なんです。
もうだいぶコジレタ話をしていますが(笑)、結果ほんの少しだけ修正します。
ここで延長するのは下端の部分のみではなく、シートとの境界線のエグリ部分です。
そして、このエグリの”角度”もちょっと変えたい。
かくして、きっと他人にはどうでもよいであろう無限回廊に突入します。
エグリ部分の角度を変える為にも、少し厚めにパテを盛っておきます。
直す気マンマンです(笑)。
ひたすらパテが増え、あんなに軽かったシートカウルが石ころのように重くなってきました。
マスターモデルはアッチコッチ直すので、いつもこうなってしまいます。
しかし”シンデレラフィット”を実現するには、これがとても重要です。
見えない水平線を探して
今回はシートのフィット感に結構情熱を注いでいます。
再現性が高く、ピタリとフィットする精度の外装を作る為に、目には見えない様々な部分で省略や簡略化を行いつつも、逆に見える部分での妥協感は見せないように工夫します。
サイドパネルとの接続にも、フィット感を高めるための折り返しを作って、ハリボテ感がゼロになる様に作り込みます。
スパッと切り取られたシングルシートカバー(になるであろう物体)も、このままでは製品化出来ません。
純正品のシートキャッチが取り付けられ、全く同じように機能しなくては、StudioQが作る意味がありません。
色々と加工をする前に、まずはシートの位置を超正確に決める必要があります。
ここだけはミリ単位で正確に、且つシンメトリに作らなくては駄目です。
一番厚い1.5mm厚のPP版を切り出して使います。
加工は大変ですが、反り返りが殆どない素材だからです。
FRPの厚みを考慮し、一回り大きめに作ります。
カバーを載せてみると違和感に気が付きます。
シート全体が斜め後方に吊り上げられてしまい、尻上がりな位置に固定されているように見えます。
これではまるで現代のバイクデザインになってしまいますし、乗り手はズルズルと前に落ちて来ます。
これを直さないと、水平基調を狙ったはずのタンクカバーとのラインもズレ始めまます。
これはイケマセン。。。。。
1980年代のキャブレーター方式のレーサーレプリカ達のガソリンタンクは、まっ平であると相場が決まっています。
さすがにフューエルインジェクション式のバイクのタンクを”まっ平ら”には出来ません(エアフィルターがインジェクター上部にセットされるため)が、せめてタンクカバーのプレスラインは合わせたいものです。
シングルシートカバーは、この赤いラインになる様にカットし直します。
空間のデザインと言う観点で見れば、横から見て着座位置が、結構深めの落とし穴の様に見えるのは良い兆候です。
ここに乗り手がスポッと入ることで、人馬一体感が出やすいのです。
乗車位置の自由度は若干減るものの、シート周辺の隙間がしっかりと埋まる為に生まれる効果です。
オーナーは、公道での停車時、建物に映り込む自分の姿を見て、ほれぼれする事でしょう。