ZX-10R J/KをNinja化する④

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KAWASAKI
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ワンオフあるある

プロトタイピングとは壮絶な作業です。
FRPとゲルコートの削りカスが室内に舞いあがり、最後は雪の様に床に積もるまで作業しています。
カスは口から入らなくても目に入り、目ヤニがカッターの様に鋭く切れるように出来上がります。
当然この後はガレージの原状回復の作業も待っています。
普通こんなの記事にしないし、YOUTUBEでも次の瞬間ドドン!「出来ました」とするんでしょうけれど書きます・・・最近お問い合わせが多いワンオフの依頼についてです。

「40万ぐらいで同じものを一台作ってもらえませんか?」
「内容にもよりますがいいですよ。それ・・・工賃ですよね?」
「え?!」
「へ?!」

パーツ代も、造作物も、塗装も・・・・・・そんなに安い訳ないでしょ。
カウルの「一つの型」を作るのって大体プロにたのんでも、小さいモノで一つ25万円します。
シートとカウルとアンダーでいくらになるか足し算してみて・・・・。
ワンオフとはモノの値段でも、標準作業工賃でもありません。
その人を雇い入れて自分だけの為に働かせる、いわば雇用契約みたいなもんです。
1か月25万じゃ、今時若造でさえ雇えませんが、それが半年から1年続くんですよ(フルタイムじゃないけどね)。

そもそもデザインは一体誰が、いつ、どのくらいの時間を掛けて考えるのか想像してみてください。
僕は土曜の昼から日曜の夜までやって、ようやく1枚書き上げています。
高い完成度を求めるからそうなるのですが、それをストックして少しづつUPしています。
皆さんは、自分で絵をかいて、頑張って偏屈な職人に説明し「ここは難しいからもっとかかるなあ~」などと軽くコケにされながらも、ぐっとこらえて頭を下げたことがあるでしょうか。
何度も差し入れしながら足しげく店に通っても、きっと作業は全く進んでません。
通う度に、わざとらしくほんの少しだけしか作業が進まない事に嫌気がさし、そのうち足が店へと向かなくなり、だんだんと遠ざかってゆくと思います。
バイク屋さんは、もっと簡単で早く結果が出る仕事が毎日あるので、そっちを優先するからです。
何カ月も放っておかれた末に、ある日急に「出来た」と連絡が来たと思ったら、イメージ通りになんて100%なっていない事を保証します。
それは、ぶっちゃけ「やっつけ仕事」だからです。
約束と少し違ったとしても「ウチではこうしか出来ない」と言われた瞬間泣き寝入りが決定します。
9割の人が、相手に気を使い「ありがとうございました」とお礼を言うか、揉めたとしても大概「納期は決めないから引き受けた」「本来なら受けない仕事」などと開き直られるので決着がつかず、仲たがいの末その店にはもう二度と行かなくなるんです。

これはよくある「互いに依存している状態」で、客は「いつもより沢山お金を払ったんだから」と勝手に期待し、受けた方は「面倒なことを頼まれたがしょうがない」と思っている状態です。
要するに純粋なワンオフはお客様感覚じゃなく、パトロンになる行為です。
スポーツ選手や芸術家に投資しながら、良い結果が出るのを応援するような感じに似ています。

じゃいいよ!自分でやる!と言う発想になる人も居るでしょうが、世で言う「やってみた動画」のごく一部のハイレベルな物は、説明や工程を端折り過ぎてて意味不明だし、残りの9割は「いやー・・・コレは無いわ」と言うレベルの出来栄えです。
DIYでプロ以上に!なんて道は・・・・・本当に無いのか?それを私は探求し続けているのかもしれません。
誰もがパトロンや雇い主に成れるわけはありませんが、皆さんが出来上がりを最初から最後まで見守りつつ検討してくれて、毎回買ってくれるので本当にありがたいです。

新旧の融合

話を戻します。
今回は贅沢にも、偶然手に入れたRS型のZX10Rのカーボンケブラーカウルをぶった切ってます。
スクリーン部分のみを切り取って接合し、面を出しています。
裏から見ると素材の違いがよく分かります。

ミラーはマジカルレーシングでもSIMOTAでもなんでもいいんですが、何分専用設計ではなく汎用品であるがゆえに、取り付けステーの厚ぼったさがなんとも情けないです。
今回はそんなボッテリと出っ張ったステーの厚みを隠すように、彫り込むか額縁を付けるかして、専用設計っぽい雰囲気を出してみたいと思います。

何も触れずに写真をバンバン載せていますが、そうです。
エアダクトを作成しています。
自分でも、よくもまあこんなに綺麗に出来るもんだ・・・と感心してしまいます(笑)。
象の鼻をどうしたのか?どうするのか?も考えなくちゃいけないのですが、過去の経験から、デザイン上はここしかないんで、先に作ってしまいます。

でも実際は、全く勝算が無いわけでもないんですよ。
ダクトから向こう側を覗くと一筋の「風の道」が見えてきます。
インテークを超え、メーターの腹下を進み、吸い込まれて行く空気。
象の鼻を反対に向けると丁度良くなるんです(後にこれが悲劇を生み出すことをまだ私は知らない)。

OhNo!ガッツリセンターがズレましたw
適当な仕事をしている訳じゃないんですが、ファイバーパテの収縮に引っ張られ歪んだんです。
こればかりは経験が足りませんね。。。

少しずつ直しています。
もとい、誤魔化していると言ってもいいでしょう。

大分修正できてきましたが・・・・もう硬くってしょうがない!
棒ヤスリが又1本折れました。。。。私の心もです。
右手首も腱鞘炎になりそうですが、まだ少しスクリーンにずれがありますので修正します。

エアダクトは気持ち大き目かなと思うのですが、実はこれ計算です。
そう、ノーマルの面積とほぼ同じに作ってる。
つ・ま・り機能的にはデグレしてないって事!
デザインのせいで性能を落とすなんて、あってはいけない事ですから。

しかし、スマホの広角レンズだと魚眼レンズの様になって面白いですね。
歪みも積極的に狙えばポジティブですな。

帰納法的にコンセプトを縮約する

かくしておおよそのディメンションは決まってきました。
各パーツは意味を持って整列しており、それが見るものに訴えかけてきます。
長く、大きく、堂々としており、巨大な馬の様です。
操る人を選びこそすれど、ひらりと跨れば風の様に走ってゆきます。
大きいのに、長いのに、べらぼうに速い。
「Ninjaレーサー」とでも言うべき佇まいから放たれるオーラは相当なものです。
デザインを工夫した結果、アッパーカウルのエグリは工夫され、ノーマルのZX10Rよりも40mm以上高いところにあるセパレートハンドルは、相当快適なポジションのままセパハンを実現できており、ロングツーリングも楽々とこなすでしょう。
お腹がポッコリしたオジサン(←私も含め)でも楽々です。

コックピットからの眺めも良好!。カッコイイ事この上なし。
防風効果も期待できるスクリーンの角度になりました。
さて!今回はこのフロント周りに、更にインパクトをUPさせる、強烈な仕掛けを施します。
あれが足りません。あれが。。。

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