このバイクのサスはあろうことか「寝てる」ので、サス交換には結構な分解が必要です。
車輛を販売する際は、超綺麗にするのがワタクシの常ですので、ここは思い切ってシートレールまで外してしまい、徹底的にお掃除です!(好き)。
これまでの数十年、色々なバイクを分解しまくって来た私ですが、ZX10Rのスイングアームは、その中でも結構長いほうだと感じます。
特に現代におけるコンパクトなオートバイの物に比べるとそれは顕著なのですが、この10Rはスイングアームの取り付け位置が結構エンジン寄りにあり、一見そう見えないんだと言う事が分かります。
元来「足の長いバイク」は、堂々と見えてカッコ良いものです。
これは世界中で愛されるKAWASAKIやSUZUKI車に共通して言えることであり、旧車のカッコよさでもあります。
そういう意味では、このJ/K型のZXー10Rはレストモッドベースとしての高いポテンシャルを感じます。
いつの日か機会があれば、クラシックカフェレーサーのベースにしてみても面白いかもしれません。
今回は松本エンジニアリングさんのサスペンションMatris M46Rを採用しています。
OHLINSで言うTTXに相当する一番上のグレードをチョイスしました。
調整機能やその範囲はもちろん、シャフトもチタンコーティングされており、性能は折り紙付きです。
黒いボディが取り付けていることをあまり主張せず、この渋い車体に良く似合います。
装着することで、一気に通好みな雰囲気になりました。
寝ているサスを交換するのに、アチコチにぶつけまくっては本末転倒ですので、しっかり分解しましたが、こういった場所はなかなか綺麗にする機会もないので、徹底的に清掃し、グリースUPしておきたいところ。
少しお疲れ気味の樹脂パーツも一旦外して、丁寧に汚れを落としながら、各部をチェックします。
油まみれになりながらなんとか綺麗に洗浄し終わり、リフレッシュしました。
走行距離も16000Kmと少なく、分解しているとこの車両の程度の良さが分かります。
バイクは綺麗に乗るに限りますね。
すっかり本来の姿を取り戻したスイングアームが「早くどっか行こうぜ!」と急かしているようです。
まあ待てよ・・・・もう少しだからさ。
と言うか、お前さんをどこかに連れ出してくれるのは・・・多分俺じゃないんだけどなー(笑)。
樹脂パーツは徹底的に脱脂してから丁寧に足付けして、5分艶の艶消しブラック塗装にて仕上げました。
以前にもどこかに書きましたが、艶消しの黒は一気に迫力が増します。
泥除けも同様に仕上げてあります。
まあ、あまり見えないっちゃ見えない所なんですが、ここら辺は拘りって事で。
塗装に際してコーションマーク類は全部はがして脱脂しています。
また、この辺のパーツを何でもかんでもカーボンに交換するなどすると、一気に「盆栽感」が出てしまうので、基本的に私はやりません。
よく、ネジと言うネジを色付のネジとかに交換する人とか居ますが、もー・・・・絶対無理です(笑)。
※すみません、個人の感想です。
各パーツをリフレッシュしているその間、取り外してあったホイールを色替えします。
タイヤは既に新品交換してあるので、ビードブレイカーでビードを落としてから丁寧にマスキングし、塗料が乾燥したのを確認して、またエアを入れるわけです。
簡単に言ってますけど・・・・下地を作るのに、ホイールのありとあらゆる部分をきちんと足付けしなくてはならず、ちゃんとやると1本に一晩丸々かかる作業です(これを2本・・・・💦)。
このホイールの設計は意外と古く、もはやベストセラーと言ってもいい定番品ですが、大変意匠が凝っているのが特徴です。
そのせいか、ホイールを回転台に平置きしてガン吹きをする際に「どうやっても吹けない死角」が結構な頻度で出現します(特にセンターハブ裏付近)。
その際は表と裏をひっくり返しながら細吹きで地道に塗るんですが、これがまー面倒くさい!。
そんなことをゴチャゴチャやってると、極細のスポークに塗料が溜まってしまいます。
挙句にその溜まりを放っておくと、リブの裏側に垂れて回り込んでゆき、さらに被害が広がります。
造形が美しいのはいいんですが、鋭角に切削してあるので、特に角は塗料が乗らないし、かなり垂れやすい&溜まりやすいので、丁寧に足付けすることが必要と言う訳です。
とにかく厄介なホイールで、これまで何度辛酸を舐めたことか・・・・分かりません(笑)。
赤外線ヒーターも活用しながら、母材を温めては薄く塗る・・・を繰り返し慎重に塗装を進めます。
ゴールドやシルバーなどのアルミフレークが多めに入っている色は、ガンと塗装対象の距離が変わってしまったり、塗装中にうっかりガンの動きを止めてしまうと、それだけで「ラメ溜まり」が所々に出来てムラになってしまい、もう直すことが出来なくなります。
それゆえに、均一に吹くのがとても難しい訳なのですが、今回選んだこのゴールドは、ちょっと目を離すとカップの中で「銀」と「黄」に分離してしまうぐらい銀色(ラメ)の方が強いゴールドですので、余計に厄介と言う訳です。
もったいないのですが、ガンからの塗料の吐出量を結構絞り「エアを少し多めにして薄くゴールドを盛大な範囲でぶっ飛ばす」必要があり、綺麗に塗るには塗料が辺りに飛散して結構無駄になります。
・・・色々書きましたが、無事一発で決めて綺麗にフィニッシュです(笑)。
まだもう一本あるのか・・・・・やれやれです。