GSX-R1000 クラシックレーサーカスタム②

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SUZUKI
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It’s My HERO

YAMAHAにはOW-01があり、HONDAにはRC-30がある様に、SUZUKIにはこのGSX-R750R RKがあります。

RKが設定されたのは、GSX-R750のモデル初期にあたる1986年と89年の2回のみで、このモデルは後者の方です。
普通のGSX-R750に対し、クロスミッションやφ40の大口径キャブレター(BST40)、170ミリ幅のワイドなリアタイヤ(当時は)など、レースベースであることを強く指向したモデルでした。
ライダーに腕が無ければ、真っ赤なゼッケンが恥ずかしいですが、車両には良く似合ってます。

デザイン的にはアッパーカウルが非常に小さくなっているのが良く分かります。
誤解を恐れず行ってしまえば、アッパーだけ400とか250を付けちゃった感じ。
ガソリンタンクは異常にペッタンコで、リアシートは妙に大きくて長いので、ちょっとアンバランス。
でも歴史を振り返ると、この”アンバランスな感じ”を作るのがSUZUKIは本当に得意です。
そしてそれが、毒のように後からジワることが多いのもこのメーカーの特徴です。
あらゆる年代のモデルを触ってて思うのですが、狙ってやっているならそれはちょっと天才的です。
因みにYAMAHAは工芸品を作るような際立った美しさがあり、後から手を入れずらい完成度。
HONDAはオブジェクトのエッジがボケたものが多く、デザインよりも性能に振っている印象です。

このRK、さすがホモロゲーションモデルらしく、Fフェンダーも薄くて軽量、アンダーカウルも短く寸足らずですが、恐らくレースに出場する前提=カウルを交換する前提で作っているとしか思えません。

通常モデルに比べ、スクリーンが短くてとても寝ています。
ヘッドライトも1100や750とは違い、額縁が無くなってレンズが真ん中に寄せられています。
1100やノーマルの750は、顔面一杯にライトレンズが広がっていて狭いのに、このモデルは余裕があり、エアダクトの形状もこのモデルだけのオリジナル形状です。
余談ですが後に出たRRレプリカで言うと、GSX-R400Rは別路線(進化と言って良い)を歩み、一方でGSX-R250R/SPモデルやそのネイキッドにあたるCOBRAは、RKを忠実にコピーしていますが、更にアンバランスになってしまいました。

レース場でのGSX

レースに最も近い市販車がGSX-R750R RKだとすれば、こちらは本物のレーサーです。
伝説のマシン 1988 MINOLTA SUZUKI GSX-R750R “TT-F1 Racer”
先日オークションに出品され、オークション終了後に売却が決まったとの事。
一体どんな人が購入したんでしょうね。
早速詳細を見てゆきましょう。

サイドカウルには排熱を強く意識したシャークフィンが凄い。
強度とかもギリギリで作っているんでしょうね。

整流の為かアンダーカウルの後端が延長されており湾曲しています。
きっと空力を意識した物でしょう。
GSX-R750R RKは少しバランス的にシートが大きい(長い?)と感じましたが、このレーサーはシートカウルの前方を詰めてあるのが分かります。
やはり長かったんでしょうね。

レーサーにしては非常に大きな泥除け。
これも耐久レースと言う長丁場に何が起こっても良いようにしている為でしょうか。

シートの張り出しがハンパないですが、レーサーらしく中は空っぽ(笑)。
しかし、このエグリの部分にライダーが足を通したら、完全にバイクと一体化できそうです。

排気系はどうなっているのか分かりませんが、やはりYOSHIMURAなんでしょうね。
サイレンサーは懐かしのデュプレックスなのか?と思うほどボッテリした形状。
太くも細くもないサイレンサーで、チタンでもステンレスでもなく、アルミに見えます。
感覚ですが、筒は95mm位で、筒長は470mm、全長で530mmくらいでしょうか。
バンク角を稼ぐために、筒の一部をカットしているのも懐かしいですね。

タンクの頂上が水平で、シートまでの角度が80度ぐらい。
ハンドルは恐ろしく遠くて低いので、必然的にタンクに密着して乗ることになるでしょう。
公道なら、ベスコンで挑んだライダーの腰が・・・・・5分でぶっ壊れそうなポジションです。

アッパーカウルのデザインは、どちらかというと後期型の1100であるラストモンスターL/M型や90年式のGSX-R400Rの形状に近く、小さな追加オイルクーラーへのエアダクトもあり更にレーシー。
L型フレームの美しさが際立っていますが、こればっかりはカスタムで表現できません。

Neo Classic GSX-R1000 Concept

さて、これまで纏めた”GSX-Rスピリッツ”を総合し、クラシックレーサーをどのように表現するべきかを、具体的に形にしてゆきます。
GSX-R1000 L0 のフレームとその他補器類を整理した状態のモック画像を作成し、デザインの検討を始めます。

イメージスケッチ

これは筑波で疾走するT・O・Tレーサーをイメージした画像。
イメージで書いているので、格好いいだけで実はディメンションがメチャクチャです。
シートカウルが巨大すぎるし、逆にアッパーは小さく潰れています。
この通りに実車化した日には、正面から見たら最高にブサイクでしょう。
アッパーが低くセットされ過ぎており、フロントフォークが動いた瞬間転倒してしまいます。
スクリーンはありえない程に短く寝ているので、他車種流用したくても、この世に存在しないかも。
シャークフィンも存在しないので、マスター型を作って対応せねばならず「既存品の流用」が実は全く通用しない代物です。
仮に、1年ぐらい掛けて作っても公道で乗れないのではどうしようもないので、これはイメージとしてだけ保存しておくことにします。

よくレンダリング職人みたいな人が無責任な絵を描いていますが、実車化する前提で作っている私としては、あまり参考にすることはありません。
この様に、イメージを膨らませるためのスケッチとして、ごく玉に書くことがあるくらいです。

イメージスケッチ

赤の衝撃を再び・・・・と言う想いが全くないわけではないのでこれも書いてみました。
しかし、描けば描く程に「あれを超えることは出来ない」と言う直感を覚えます。
その感覚は多分真実だと思うのです。
上手く言葉で説明できませんが、もうあれが最高であり、あれより上は無いと強く感じます。
私の心が「辞めろ」とハッキリ言うのは、あれが最高の1台であり、私の限界なのでしょう。

イメージスケッチ

赤に対しての想いは断ち切ることが出来たので、気持ちは青に回帰しました。
しかし、SUZUKIのワークスカラーはある種の方程式があるので、アレンジの幅も狭いと言えます。
それでもまずは、思いつくままに”足し算”で書いてみましたが、案の定Busyですね。
過去さんざん失敗してきたカスタムの見本の様です。

スズキのワークスカラーを語る時、このRKの様な青の三重奏で行くのかを決めなくてはいけません。
そしてこの「赤」を、どこまで認めるかが問題です。

一般的な750J/Kのカラーは青の二重奏です。
赤も控えめにロゴのみとなっています。
ステッカーチューンし甲斐のありそうな大きな白いキャンパスが広がっています。

イメージスケッチ

この「RK風シート」をどうやって再現するか?の問題は一旦棚上げしておきつつ(←やり切る自信はある)、これまでの要素を具現化してみました。
しかし・・・・どう見ても全部入りすぎてゴチャ付きます。
しかし、逆を言えば詰め込みたい要素は全部揃ったと言う事。
さあ、ここからは引き算です。

HELLO WORLD!

さて、こちらが本プロジェクトのGOALイメージです。
シートカウルのサイズや位置、タンクカバーの形状、アッパーの処理など、かなりプロダクト寄りな変更がいくつも確認できると思いますが、全体に雰囲気は壊していません。
適切なサイズまで詰められつつ、左右の膨らみとエグりをオリジナルよりもさらに強調したシート。
どの年代の、どのマシンのフルコピーでもない筈なのに、あたかも昔こんなマシンがあって、レースで大活躍していたような・・・・・そんな気さえしてきます。
クラシックな雰囲気はしっかりと残しつつ、だれが見ても「The SUZUKI」でありながら、それでいて最新のテクノロジーで武装された現代のフラッグシップ機です。
夢のクラシックレーサーを、現代のバイク「GSX-R1000 L0」にて思い切り表現してみました。

参考価格2,050,000円+α ※オーダー受付中

ベースとなる白を、オリジナルのパールホワイトから、更に青みが強いグレー寄りな物に変更することで、全体的にブルーベースなトーンの支配力が強くなり、より一層「スズキの青」が引き立ちます。
 
 ●ベースの白は、3コートパールのグラススプラッシュ・ホワイトへ変更しブルーベースへ
 ●一番上の紺色は、89年のVFR400R NC30に使われていたラインの紺
 ●真ん中の青は、88年のGSXーR750に使われていた、マーブルヨーロピアンブルー
 ●一番下の空色は、80年のRG250γに使われていた、スカイブルー

ぱっと見は当時のワークスカラーに見えますが、実は全く違う色です。
時代やメーカー・排気量の垣根すら超え、完全にトーンを調律したコーディネートは、次世代に続く新たな「SUZUKIワークスカラー」の提案です。

アッパーカウルの左右にあるエアインテークのガイド形状は、オリジナルをさらに強調された形状に変更しアグレッシブにしつつ、スクリーンはオリジナルの物を使えるようにします。
ナックル部分の角度も、オリジナルより鋭角に変更し、クラシックレーサーな外観へ。
アンダーカウルは後端をかなり延長し、サイドのクランクの膨らみも少し抑えたものに作り直し。
本家RKよりも短く、エグリの落差が大きい形状のリアシートも、完全にオリジナルです。

これらを全て満たしながら、アップタイプのタレ角ゼロセパハンを用いて、ツーリング可能なポジションを実現します。

SPEC

SUZKI GSX-R1000 L0
走行距離 26,000km
車検 令和6年4月15日まで
付属品:純正マフラー(L2片側一本出しフルチタン)

マフラー:チタンスリップオン (BEET中間パイプ+ワンオフチタンサイレンサー )
ヘッドライト:小糸製作所 ハロゲンセミシールドビーム×2+ワンオフヘッドライトハウジング
テールライト:GSX流用+改
外装:アッパー・サイド・アンダー・シート(ワンオフ)
タンクカバー:マジカルレーシング 綾織カーボンタンクカバー
ペイント:ウレタン2液塗装(各種ロゴも含む)
カウルステー:ワンオフ
スクリーン:アクリポイント(クリア・純正形状)
タンクサイドカバー:カーボンオーバーレイ加工
フロントフェンダー:カーボンオーバーレイ加工(ハーフ)
ハンドル:ハリケーン ジュラルミン削り出し セパレートハンドル
ミラー:マジカルレーシングカーボンミラー ショートエルボー
サスペンション:ローダウンリンク
フェンダーレス:ACTIVE KEDウィンカー付きライセンスホルダー
駆動系:SUNSTAR+RK
ブレーキキャリパー:ブレンボ 改
ブレークディスク:SUNSTARプレミアムレーシングディスク
レバー:ZETAフライトバーチ
ブレーキホース:ACTIVE BF GoodRich
ステップ:STRIKER
サブコンピューター:DYNOJET+クイックシフター
ホイール:GAILSPEED TYPE-C
スプロケット:GAILSPEED×XAM
タイヤ:ダンロップSPORTSMAX

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