ZX-10R J/KをNinja化する⑱

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KAWASAKI
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マスターを磨き上げる

もうこれでいいじゃないですか・・・・綺麗だし(心の声)。
でもね、丁寧な仕事ってのには続きがあるもんです。
以前、プラサフは液体パテとしても十分に役に立つと書きましたが、逆に均整はとれません。
艶消しで反射しないために、一件綺麗に見えるだけで、実はボコボコです。
FRP型を作るに当たっては、その状態で作ってしまうと、やっぱりその通りの物が出来てきます。
つまり「毎回同じところの手直しが必要な型が出来る」って事です。

それじゃ困ると言う事で、やっぱり手間暇かけます。
小さなサンディングブロックから、大きなものに持ち変えて、より均一な面を作ってゆきます。
切削効率が良いままで、その後処理無く塗装には入れるのは、大体#400ですので、耐水ペーパーを大量に用意して臨みます。
ペーパーはジャンジャン使うのでまとめ買いして単価を押さえましょう。

砥いでゆくと、案の定カウルがまばら模様になりました。
サフが残っているところが±0だとすると、それ以外で肌が見えているところは、+だったという訳。
又、耐水ペーパーも最初は良く削れるので引っかかりを感じるのですが、目が詰まってきたりするとそれが無くなるので、そのまま削っていると余計に力を込めてしまったりします。
しかし、直ぐに交換するにはコスパが悪いので、サンディングブロックに巻いたペーパー側に霧吹きで水を掛けながら(洗いながら)切削力がガクンと落ちるところまでは使います。
このように、手の平から伝わってくる感覚は常に変わって行くので、サンディングブロックを持ったとて機械の様に削るのは難しいです。

高いところは良いとしても、残った白いサフの部分が±0という訳でもありません。
時には盆地の様に凹んでたりしますので、最後の手段として触診します。
目を閉じて視覚情報をカットし、力をあまりかけずにストロークしながら、指の腹のセンサーで圧力の微妙な変化を感じ取ります。

水たまりの様な微妙な窪みを見つけたら、忘れない様に鉛筆で囲んで印をつけておきます。
高い所を削り取ったら、今度は窪みを埋めてゆくことで、±0に出来るだけ近づけようという訳です。
写真に見えるFRPの巣穴も後で全部処理します。

目ではわからない、なんとか見つけた窪みに、薄くパテを盛ってゆきます。
硬化剤とパテに少しアセトンを加え、緩くしてやったパテを作ります。
中盛りのパテは、こんな風にして薄付けパテにも出来ますので、別々に買わなくてもいいです。

巣穴は良くカウルの角の部分に出来ることが多いです。
ファイバーパテで先に角を埋めておいても、どうしても気泡が入る事があります。
この場合、上からパテで埋めるのではなく、巣穴は逆にほじくり返して大きくして壊してから、パテを中に突っ込みます。
そうしないと、パテがポロリと取れてきてしまう事があります。

なんだかんだと丸2日ぐらいやってますが、ようやく終わりが見えてきました。
酷い有様ですが、これが本来あるべき姿なんでしょう。
一見すると目には見えない、このようなうねりやヘコミは、黒などの濃色一色で染めると、光の反射で歪みがすぐに分かってしまいます。
柄を入れたり、文字やロゴを入れたりすると、徐々にわからなくなってしまうのですが、それでもカウルに歪みがあるのは事実です。
良く「FRPですから歪みがあって当然」的な注意書きがある商品説明を見ますが、それは大量生産品の話です。
大量生産の果てに、離型を繰り返すことで型が歪んでしまって、歪んだ製品が作り続けられます。
ワンオフ少量生産では、歪みなどあってはならないと私は考えます。
こうした拘りの有無が、「素人が頑張った作品」か「芸術品」かを分けるような気がします。

中盛りパテをアセトンで緩くすると、薄付けパテとしても使えると書きましたが、FRPの巣穴退治にはこんなパテがあります。
0.1mmまでしか盛れない極薄付けパテで、1液性なので最後まで無駄なく使えるのが特徴です。
伸びが良く緑なのでどこに残ったかも一目瞭然。
乾燥も早いので、すぐに作業に取り掛かれます。

最後の仕上げとして、こんな風にチョンチョンと置いてゆきます。
超薄付けなので、あまり盛っても意味ないです。

緑のパテは最終仕上げ。
アッパーカウル作業の本当の終わりを告げています。

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