CBR1000RR CB1100Rカスタム㊿

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HONDA
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カリブレーション:アッパーカウル14

粉塵を吸い込み続けると、本当にえずく程の吐き気と頭痛を模様しますが、それがポリパテのヒュームやFRPの切削粉だったりしたら、更に最悪です。
何だったら口だけではなく目にも入ってくるのでその被害範囲は甚大です。
臭気を感じ取った刹那、そいつらはもうすでにあなたの体の中に入ってしまっています。
粉じんの吸入ばく露による健康障害は様々ありますが、気つけないと本当に危険なので、マスクをしようがゴーグルをしようが、室内での作業は辞めましょう。
私のように、宅内に超大型強制換気システムを建設してしまった人は別ですが。

CBR1000RRSC59のスクリーンベースは左右の傾斜がキツく、深く落ち込んでいましたので堀の深い顔立ちとなっていましたが、これがあまり精悍すぎるとRDのイメージから遠ざかってしまいます。
どことなく平和的なホンワカした顔だったはずなので、CBR600RRのスクリーンベースに合わせて、左右の谷を埋め、比較的ソリッドな形状に大きく変更しました。
これによって「ニコイチ感」が無くなり、メデタシメデタシ。
オリジナルのカウルは、この車輛に対しては縦長で大きすぎた為、かなり大きく手を入れました。

縦長の仮面ライダーでも乗ってそうな昭和なカウルは、その面影を残しながら小顔整形されていますが、その手術跡は敢えて残して面を出しています。
サイドの頬が少しコケているのが実はポイントで、これによって陰影をつけ、メリハリのある顔にしています。
印象的なライトの両サイドにあるスリットは、原形のまま残しましたが、ナックル周りも一部を残してすべて新造しています。

ミラーホールは今回苦心した造詣部位の一つです。
通常のカウルからホールソーで真っすぐに縦穴を掘ったようなソリッドな形状としました。
CADで作ったモデルを3Dプリンターで射出しました!なんて言えれば本当は格好いいんでしょうけれど、多分私の人生においては手を出しません。
根性で、プラ板と手掘りで何とか作りました。
正確に位置を出しながら、格納式のミラーの為の逃げを確保し、造形美として破綻の無いように美しく仕上げたつもりです。

3mm厚と5mm厚のアルミフラットバーを試しながらライトステーを作ります。
本当はアルミ溶接出来ればベストなんですが、そんなに需要が無いのでいつも棚上げ。
ヘッドライトステーは光軸調整できるよう長穴加工を行いつつタッピングダイスを使い、出来るだけナットレスに仕上げて行きます(見栄えの問題)。
3mmはちょっと怪しいけど。5mmならば直でタップを立ててトルクを掛けても安心ですし、ナッターを埋め込む必要もなくなります。
ナッターは構造上どうしてもカシメしたあと、フランジが残ってしまうため段差が出来ます。
素材同士がピッタリくっつかず、接触面積が小さくなってしまう為、ボルト止めすると全体での強度に問題が残ります。

純正のカウルブレースには正面から見て、純正ヘッドライトユニットを固定する為のヘソが突っ込まれるためのゴムブッシュ&穴が左右にあります。
カウルブレースのゴムブッシュを取り去れば、そこには15mmくらいの丸い穴が2つ残ります。
規格的に15mmのボルトは無いので、それに近い14mmのボルトを使い、高トルクで固定します。
アルミのフラットバーを、ハンドベンダーで何度か折り曲げ、それらを固定し、ミニバイスを使いながらヘッドライトユニットの位置調整を慎重に行います。
位置が決まったら、フラットバーをバイスで固定したまま下穴を掘り、タッピングでネジ山を切ってからボルトで固定して行けば、ヘッドライト用の追加ステーが完成します。
5mm厚のフラットバーは史上最強のホムセン=ジョイホンにすら並びませんが、最近はネットで安く簡単に手に入るので重宝します。
流石にこのくらいになると手強く、もう人力では曲げたりできません。
経験上、タッピングを立てる意味でも、5mm厚の20mm~30mm幅が最も加工しやすく、素材としても信頼できますので、ストックをお勧めです(時期によって値段が株価のように劇的に変わる)。

DryFit3

早速出来栄えを確認します。
当たり前ですが各パーツピタリと収まりました(まあ、そう作ったんですが)。
ミラーも取り着けてひと段落。ストレスなく格納できることを確認です。
オーナーの希望通り、リスクをとらない今回のカスタムは、非常に純正ライクで高品位な仕上がりになりそうです。
唯一のレスは純正のエアダクトで、左右共に撤去し異物混入対策用のハニカムグリルを設置。
そもそもこの車両は国内仕様の方肺仕様でしたが、それでも十分な馬力が出ており、デザインコンセプト上純正マフラーを使い続ける予定です。
左右吸入口の開放で、純正よりも吸気口率が下がる事はありません。
エアセンサー類はハーネスに残しエラーを回避しながら、空いたスペースを活用してアッパーカウルステーの支持ポイントも確保です。

アッパーのおさまりも改善され、ようやく見れるようになってきましたので、再び各パーツを付け見てみました。
真夜中の、一人モーターショーの開催です(笑)。
スマホの単焦点レンズでの撮影なので、魚眼レンズの様に中央が膨らんでしまい、画像が大きく歪んでしまっていますが、実車はもう少し格好が良く、シュっとしています。
各パーツが意味を持って配置されており、マッチングも良好。
各部の造形もプレーンで、いかにもHONDAらしいバイクに見えます。

大きなバイクを小さく見せる工夫を様々に凝らしているこのSC59には、今回驚かさせられてばかりでしたが、触ってみると本当にこのバイクには余分なスペースが殆ど残されていません。
車両写真こそ小さく見えますが、実車は結構幅がありボリューム感がそれなりにあるバイクでした。
今時(執筆時2025年3月)のトレンドである異形の短いマフラーを何と2009年の時点で採用し、そこに尖った極端に短いテールを組み合わせることで、今もなお独特な雰囲気を持つバイクです。

今回のカスタムで、実際にはどのくらい変化をしたのか?シルエットを作って比べてみました。

もっとわかりやすくするとこんな感じです。
シートカウルは延長されていますが、総高さは大きく変わらず控えめです。
一度大きく立ち上がってから平坦に延長されたことで、本来のツンと跳ね上がったテールが随分と落ち着いて見えるという効果が出ています。
アンダーカウルはとても長く見えて車両全体のデザインを堂々と見せるのに一役買っていますが、それは目の錯覚で、マフラーヒートガードと一体になっているデザインの妙です。
アッパーカウルは紆余曲折を経て、結局はあまり大きく前に出ることは有りませんでした。
純正よりも高さが出ていますが、アッパーそのものが後に長くなっているので、あまり背が高くなった印象は無く、むしろウィンドウスクリーンの傾斜は更にキツくなったように見えます。
これらは、垂れ角度0度のセパレートハンドルに合わせて作り込まれています。

シートとアッパーはかなり大型化されつつも、それでもまだコンパクトに見えるのが何とも不思議ですが、ホイールベースが長く「のびやかに堂々」と言う文脈を持つ”旧車”ならでわのエッセンスが少し入ったNEWデザイン。
実は、純正ミラーの幅やスライダーの突起で分からなくなっていますが、ハーフカウル+アンダーによってカフェレーサー化(←Studio_Qの十八番)されたこともあり、車両の全幅はむしろ純正のSC59よりも細くなっています。
丸く膨らんだレーサーレプリカのシェイプデザインに対して角を取り、各パーツを内側から空気を入れて「パン!」と張る様なイメージで、少しづつ四角くしてまとめるというリメイクでした。

さあ、そろそろ仕上げステージに突入です。

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