プロトタイピング
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早速カウルのドナーを用意します。
今回の生贄は、1986年製のGSXーR750用アッパーカウルです(1100ではない)。
40年の時を経て、最後の最後に私に切り刻まれることになろうとは、まさかコイツも思っていなかったでしょう。合掌。
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額縁の際の部分を狙って、電動ソーで上手いこと切断します。
ABS製の古いカウルは、油分が外に抜けており、固くなっているので切断は困難です。
ついでに言うと、何度下地を作っても油分が染みてくる部分があり、塗装を弾いてしまいますので、非常に厄介です。
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ゴーグル部分を除いて左右にぶった切りました。
これは、アッパーカウルをワイド化しても、顔つきを変えないための成形手術です。
ライトハウジングやスクリーンがそのまま使えるようになるので、調達に困りません。
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それでは、メガネの額縁部分を太らせる手術を始めます。
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左右揃える為に同じ形を切り出して使用します。
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額縁を広げる為に固定します。
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左右のカウル幅を広げた状態で、アルミテープなどで固定します。
幅を広げる事によるしわ寄せは、左右のナックルや、額縁の底部分に歪みとして現れます。
それらを全て躯体として再度成形する必要があります。
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完全にマスキングしたらファイバーパテを作って接合します。
躯体成形の治具として、PP板などをグルーガンで固定しています。
人間が骨折した時の治療方法と似てますw。
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このカウルはマスターモデルになるので製品には使いません。
軽さよりも、形状を維持することを目的としているので、裏表でガッチリと固定します。
GSX-R1000 K9-L6用 GU74TYPEワイドアッパーカウル
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雰囲気を崩すことなく、GSX-R1000にぴったりな、ゴーグル型の旧GSX-R1100・750タイプのカウルが出来上がりました。
見る人が見ればわかってしまいますが、しっかりと雰囲気は残っています。
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ライトハウジングの一部をセットしてみると、ぐっと雰囲気が出ます。
ナックルも鋭角に切り飛ばし「ミサイル感」が強調したいところです。
増量した額縁部分は、この後入念に角を面取りして丸める事で違和感を消します。
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それぞれのカウルを適当に車両にあてがってみましたが、サイズ感は変じゃなさそうです。
しかし、角度や位置=ディテールはメチャクチャで、相当無秩序な状態です。
さーて・・・ここからが仕事です。
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おおよそFフォークの沈み込みは一般的に10cm~12cmとして残しておく必要があるので、Fフェンダーとのクリアランスは固定しておきます。
アッパーカウルに角度を付けて顎を引いた状態で固定しようとすると、今度はスクリーンがあらぬ方向に向いてしまいますので、バランスが大事です。
接近している、タンクサイドカバーのプレスラインが気になります。
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シートは前回の車両の残骸を当てがいましたが、張り出しや形状に”癖”が無いので、無個性な印象を受けます。
ここも全体とのバランスを考えて再デザインする必要がありそうですが、サイズ感は変じゃありません。
ここからぐっとディテールの質を上げてゆきます。