ZX-10R J/KをNinja化する㊻

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型割の方程式

割型というものは本当に難しく、離型が簡単になるメリットはあれど、割れば割る程に製品にラインが入ってしまい、仕上がりは悪くなります。
割るべきか割らぬべきか?これは、対象物の形状(角度)に依存します。

これは何のストレスもなくポコン!と外れてくれます。
90度以上の角度があり、開いている状態なので、離型剤さえ塗っていれば簡単に抜けます。

これは90度の対象物なのでギリギリセーフ!
ちょとでも90度以下だと、もう絶対抜けません。
どうしても外したくば・・・・原型が粉々になります。
なのでギリギリと表現します。
世にある量産型の既製品の「エッジ」が、どーもぼんやりとしているのは、この離型を意識した結果とも言えます。
ワンオフ品では量産する必要はないので、ここはぐっと攻めた形状を求めています。

これは100%アウトですね。
もう何をどうやっても外れません。
一体化してしまう感じです。TheEND。
型を作成する際に絶対やってはいけないミスです。

もう少し簡単に説明します。
例えば、こんなふうなカウルのエッジなら、90度でもなんとか離型します。
これがあと0.1度でもマイナスだと、原型を型が「掴んで」しまって、なかなか離れなくなります。

「掴んでしまう」と言うのは、つまりこのような折り返しを持ったカウルの事です。
このように90度以下の鋭角な折り返しを持っている部分を、うっかり一体型で作ってしまったら、もうOUTです。
原型を破壊しないかぎり、絶対に外れてくれませんし、下手をすれば、原型もろとも型まで壊れてしまいます。

図では無くて、もっとわかりやすく実際のカウルで見てみましょう。
先程の法則で考えると、この赤い部分が非常に怪しいと言うか、心配すべき部分になります。
赤一つにつき、分割エリア1つで考えると安全です。

青い部分は巻き込んでたり、掴むことは無いので・・・・90度だけど、なんとかセーフだと思われますが、やっぱり赤い部分は・・・・・・100%アウトだと思います。
そうなると、最低分割数は「4」で行くしかないと言う事です。
せめて「3」で行きたかったのですが、今回は、かなり複雑な割り型の作成になります。

割り型の仕切りを作る

割り型を作る時は、壁を作ってそれぞれのブロックにエリアを分割することになります。
この壁を作る際にはこのような「コンターゲージ」なる物を使うと便利です。
対象の形に添わせた後にロックすることで形状を維持してくれるので、複雑な曲線を楽々と写し取る事が可能になります。
これを使って、壁を作る場所のラインを写し取り、PP板で仕切り板を作ってゆきます。

当たり前ですが、見事一発でドンピシャのPP板を切り出すことが出来ました。
原理は簡単なのですが、世の中には、本当に便利な物があるものです。
良い時代だ。

そんなことをしながらも、ライトハウジングをグルリと取り囲む壁を作ってゆきます。
PP板の長さが足りないので、継ぎ足しながらアルミテープで接合します。
アルミテープは、そもそもFRP樹脂にもくっつかずに離型するので、本当に便利です。

グルリが完成しました。
気が付いた人が居るかもしれませんが、この壁の高さにコツがあります。
実際に型を作って何個か同じものを作る訳ですが、離型の際に、棒状の物や金属のヘラなどを壁同士が接している部分に突き指して、結構な力を掛けて抉るので、ここの強度はもちろんの事、ある程度高さ(長さ)が無いと、突き刺した突起物に対して「テコの原理」が効かなくなります。
それゆえに、この仕切り壁の高さは、少し大げさなくらい高い(長い)方が良いのです。
ここは型作成の重要なポイントです。

どこぞの巨人でも埋まってそうな、けっこう立派な壁が出来ました。
大きな水たまりの様な、すり鉢型のブロックがまず一つ目です。

ブロックごとに、ホットボンドで仮止めしてありますが、このボンドはごく少量でOKです。
これが多い程に、型が荒れてゆきます。
その荒れを少しでも滑らかな物にするために、隙間を粘土で埋めて、なだらかにしています。
この隙間埋めの粘度も、あまり沢山使ってしまうと、割り型の隙間がどんどん大きくなってしまうだけなので、出来るだけ小量で済むように、指でしごいてゆきます。

図にすると、現在はこんな感じになっています
グレーがFRP原型で、真ん中のピンクがPP板、それを支えるのが水色がホットボンドで、水色の上にある赤色が油粘土です。
これを仕切り壁の両面の根元に対して、すべて同じ処理をしてゆきます。
型が完成すれば、双方のブロック間の隙間は赤+水色の部分になっています。
なので、この赤と水色は、少なければ少ない程に良いのです。

離型準備

FRP型の離型には、PVAと言うものがとても重要です。
これは洗濯糊に色を付けたような物とWEBではよく書かれていますが、両方試した私から言わせてもらえば、厳密には違うものだと思います。
そんなに高価なものでは無いので、ケチらずにブルーのこいつを買うべきです。
PVAとか、ポン抜きとか呼ばれており、これは乾燥すると極々うすい膜を貼ってくれます。
非常に離型が楽になるので、何かする前には、必ず塗っておかないとダメです。

アルコールが少し入っており、そこそこ粘度が高いのですが、最初は少量をスポンジにとって薄く塗り広げましょう。
薄く塗ればすぐに乾燥して、青い膜を張ってくれます。
面倒くさがって一気に厚く塗ると、今度は中々乾かないので、薄く何度か時間を空けて重ね塗りをすると良いです。
このPVAの塗り筋は型の表面となってしまうので、厚塗りをして溜まりが出来たりしないように、薄く一方通行に満遍なく塗り込むことが必要です。

サフの上に一回PVAを塗ると、うっすらブルーな感じになります。
部屋を暖めたりすれば、あっという間に乾燥してくれます。

都合3回塗りました。
これできっと楽に抜けてくれるはずです。
型や製品には、この青い膜は付いてきますが、簡単にお湯で洗い流せるので安心してください。

現在の状態は図のようになって追います。
PVAである青い膜が全体を覆っている状態です。
抜く時は、この青い層まで一緒に抜けてくるという訳です。
まだまだ続きます。



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