ZX-10R J/KをNinja化する㊿+⑤

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KAWASAKI
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FRPカウル複製④

FRPカウル複製は人によっては退屈な作業です。
ここまで大きいカウルになると、FRP築層時に必ずどこかに気泡が入ります(私がヘタだから)。
黒ゲルとマスターの間、黒ゲルとガラスマットの間、どこで入ってもおかしくなりません(私がヘタだからです)。
その気泡は離型後一見どこにも見えませんが、内部に確実に存在しています。

カウル内の気泡は、強制乾燥・硬化させる過程で襲い掛かってきます。
母体を温めると温度が上がって、内部に含まれていた気泡が目を覚まします。
空気ですから熱せられると膨張し、膨れとして表面を壊し現れるのです。
簡単に言うと、火傷をした時の様な水ぶくれがアチコチに出てくると言う事です。
その水ぶくれを一つ一つ針で壊して穴を開けながらパテを入れ、均して行きます。
薄い黄色く見える何十個もの斑点は、全て巣穴を埋めたパテです。
これはサフを拭いて、塗装が終わっても起こることなので、本当に厄介です。
スピーディに作業を進めたいけれど、強制的に熱を加えると作業全体が止まってしまい、新たな工数が発生してしまいます。
この課題はこの10年解決できていませんが「そんなに急がずにゆっくりやりなさい」がきっと正解なのは、薄々解っています(笑)。

同時にグレーのサフを入れたら微妙な面のうねりが見えてきます。
これは曲面でも平面でも、硬いサンディングブロックを使う事で面が出せます。
コルクや木材などのブロックが最適で、切削力が下がらないように水分を補給しながら、大きなストロークで優しく撫でる様にサンディングすると平滑な面が見えてきます。
目視では分からなかった凸凹が削れ、凸部分は黒ゲルの下地が所々見えてきました。
え?まさかこんなところが・・・・・と驚く瞬間ですし、人間の目と言う物は本当にあてになりません。

全面的に切削し、面出しを継続です。
実際は、かなり汚れるのでなかなか骨の折れる作業です。
ツナギを洗っては干しを繰り返しながら、何とか前に進めます。

気泡や面のうねりは、やはりエッジや面の切り返し部分に良く現れるようです。
こればっかりは、脱泡ローラーを使っても回避できません(私は)。
と言うより、基本がハケ塗なのが原因なのかもしれません。
微妙なマットの返しを抑えたり、撫で付けがしにくいのでローラーは苦手です。

地味な作業を数日間、何度も何度も繰り返し、徐々に製品を追い込んでいきます。
実際かなり憂鬱な作業で、つなぎに袖を通すたびにため息が出ますが、この作業はやればやる程に品質は上がるので逃げる事は出来ません。
終わりの見えない、いたちごっこが続きます。

苦労の甲斐あって、なかなかいい面構えになって来ました。
改めて思うのですが、素人がちゃんとしたFRP製品を作るってすごく大変です。
これをプロは簡単に一発で決めるのですから、本当にプロってすごいな~と思います。
逆にこれが素人の限界なのかもしれません。

ヘソ加工

長い汎用ウィンカーの首をヘソに埋めるために、ウィンカーホールを作ってゆきます。
まずはレーザー墨出し器を使って理想の位置を探ります。
見つめ合う二人(笑)。

レーザー墨出し器を使ってヘッドライトの中心軸を射抜きます。
こういった機械を使い、目検では難しい位置をズバリ出して行きます。

ヘッドライト中心の水平ラインをマスキングします。
これ、一見簡単そうに見えますが、三次元なので目視では難しい事です。
実際に左と右の膨らみは逆Rなので、これにまっすぐマスキングテープを引こうとすると、レーザーラインの様にはならず、ズレてしまいます。
それゆえ、曲がってくれないマスキングテープをレーザーラインに合わせると、しわが出来てしまいました。
カウル塗装の際には、こういった歪みがいたるところに出来てしまいますが、この墨出し機を使えば大丈夫です。

マスキングテープをぶらーんと垂れ下げて垂直ラインを出し、中心を出します。
これを左右対称に行います。

位置が出たら、まずは1mmドリルで下穴を開けます。
その後、徐々に経口を上げて行き、6mmまで広げます。
その方が綺麗な穴が開きます。

ここでホールソーの出番です。
木工用のホールソーでは刃が荒すぎてカウルがボロボロになってしまうので、私は金属用のホールソーを使い綺麗な穴を開けます。

角度が付いている面ですので、中心線に対して垂直に穴を開けてゆきます。
カウルに対して斜めに歯を入れて行くイメージです。

御覧の通り、金属用のホールソーは一発で綺麗に穴があけられます。
手作業でも出来ますが、やはり道具があるならそっちの方が再現性が高いです。

ヘソも取り付け部分に合わせて加工します。
カウル取り付け部分は結構な角度があるので、斜めにカットする必要があります。
ウィンカーがしっかり水平垂直に生える様に微妙な調整が必要です。

イメージとしてはこんな感じになります。
まるで純正品の様に見えるよう、細かく綺麗に仕上げます。

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