RN46J XSR900 CafeRacerカスタム⑨

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外科的手術

狂ったように作ったものを切ってますが、本人はいたって冷静です。
私には完成図がもう見えているから。
目の前にある課題や惨状は、絵が完成するまでの予定されていたイベントにすぎません。
躊躇せず、黙々と作業を進めます。

タンクカバーが短くなると言う事は、ハンドルまでが近くなるって事。
忘れがちですが、カフェレーサーとは言いつつも、今回のベースとなったXSR900はオッサンのツーリングマシンです。
幾らセパハンもどきを装着しても、ロケットカウルを付けても、やっぱりオッサンバイク。
スーパースポーツなどとは違い、とても乗り心地は良いのでご心配なく★。

タンクカバーで最後まで分からず迷ったのは、タンクの位置でした。
飛び出している給油口に対して下なのか?水平なのか??上なのか???技術的にはどうにでも出来るだけに、更に悩みは深くなってしまいました。
結論としてフラットで行きますが、それを決める原因はデザインではありませんでした。

今回は、タンクはアッパーカウルとつながって、卵の殻の様に一体化しています。
車で言うとTOYOTAのエスティマみたいなイメージです(笑)。
その殻全体の取り付け角度を決めると、自ずとタンクカバーの位置は決まってきます。
これにより、自分が考えていた場所よりも、何センチも高いところにセットするのが正解だとわかり、少々驚きました。

これが試行錯誤した結果です。
大分一体感が上がっており、塊感を感じられるようになりました。
アッパーとの自然な接続や、かすかに前下がりな取り付け位置が実現しています。
アッパーのライトハウジング下が無いこの特徴的なカウルは、通常心配になるFフェンダーとアッパーエンドの干渉を気にせず限界まで下げてセットすることが可能ですが、その特徴を存分に生かすことが出来ます。
これによって首をすぼめた亀の様に、アッパーからタンクまでが一体となって纏まりを得ます。

カウルフィッティングには様々な細工が必要でした。
マスターボディになるこのカウルは、切断しやすいよう予め2プライで薄く作ってあります。
幾ら薄造りしたとはいえ、FRPはその特性上、火であぶっても柔らかくはなりません。
いちいちカウルを切断して作っていては何時までたっても完成しませんので、このように「隠し包丁」を入れて無理やり曲げてしまうと言う方法もあります。
必要に応じて切れ目を入れ、曲げた状態でファイバーパテなどで固定してしまいます。

PP板を適当に切り、予め手で曲げた後、絆創膏の様にホットボンドで留め、曲げた状態を次々に固定してゆきます。

徹底的にラインを出す

全体の位置が出てきたら、ここからは楽しい時間。
ここまでの作業ですべて失われてしまった、細やかなディテールを取り返します。
細かい角度や形状に拘りまくって作り直しますが、コンセプトは「純正品クオリティ」です。

今回はジャストアイデアで、使わなくなったXSR900のセンタータンクカバーを使う事にしました。
元々捨てる予定でしたが、後端の加工部分を半分切ってカバー取り付け穴確認用に残しておいたもの。
これをそのまま製品に使ってしまおうと言う発想です。
純正品ならではの精度で取り付け穴が開いているのはとっても魅力的。
ドッキングして型を作れば、最高精度のマスターモデルになるでしょう。

歪みを整える

薄くて大きなカウルを切った貼ったしている訳ですから、完成してもペラペラで強度が低く歪みます。
車輛のトップブリッジやハンドルを外して、スポっとカバーを取り外し確認してみます。
左右のアンシンメトリな切削部分の確認、同時に左右を接続する際のズレや、それらを無理やり成立させようとした無理な接着などがわかります。
一つの歪みが、次々とまた次の歪みを作って行く負の連鎖です。

でもそんなことは最初から分かっていました。
歪みを取るのは簡単で、最初の歪みを切り離せば、元に戻ろうと動き始めます。
折角作ったのに!!と思われるかもしれませんが大丈夫です。
このために、やり直さなくても済むよう純正のタンクカバーの一部を、位置出し治具として埋め込んだのです。
この純正タンクカバー周りを死守すれば何も問題ありません。

ホットボンドをパキっと外しながら再接着を繰り返し、無理に掛かっていたテンションを抜きます。
思いの他動いてしまったりしてドキドキしますが、逆らわず進めます。
改めて見ると、こんなにデカくて複雑な形の物を・・・・よくもまあ一人で作ったもんだと思います。
アホだなあ(笑)。

なんだかんだで、出来てしまった・・・・。
なんじゃこりゃ(笑)。
凄いね。

紡錘形の美しい一体型カウルが出来ましたが、まだまだ治したいところがあります。
これは車輛に合うだけの物であり、私の作品と呼ぶには0点。
こんなレベルでは神様が降りて来ない為、一瞬で人の心を奪うことなどできません。

更にメスを入れ、AJSの様にもっと極限までタンクエンドを絞り込み、エグリを深くしてみます。
アッパーの顔のラインもこもままじゃ中途半端なので、完成させなくてはいけません。
スクリーンエンドも左右で長さが違うので、微かに歪みが取れ切っていない。
可能であれば上記を全てクリアした後で、もう少しアッパーを前に伸ばしたい。

旅はまだまだ続きますが、何も無かった今までとは違い、素材は出来上がったのでGOALまでの具体的な距離が分かってきました。

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