RN46J XSR900 CafeRacerカスタム⑯

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ループする世界

魔工作は続きます。
今夜で何日目だろうか。
深夜におっさんが、ガレージにポツンと所在なく困り顔で佇み、頭を抱える姿を想像してください。

はい。それで合ってますよ。

全然ダメ。
まずお尻見えちゃってるしw。
そもそもカバーになってない。
ラインがおかしいのか?!と思い付き、少し変えてみます。

違う違う違う違う違う違う違う違う、そっちじゃない。
やっぱり水平なプレスラインは一直線であって欲しい。
このシートの丸いカーブに負けないで欲しい。
ん?マケナイデホシイ??

一つ分かったのは、Bodyにしているこの黄緑は、125cc用のシートなのでとてもタイトだって事。
車輛を上から見た時の紡錘形に拘って「シュっと」していることを前提にしており、何も疑問に感じませんでしたが、ようやく気が付きました(今更かい・・・)。
「小っちゃいんだ」と。

小ささは好きなんですが、そうじゃなくて・・・「全体的」に小さいのがいけない。
やはり無駄にメリハリがあるボディその情熱のイタルデザインなのです。
極限まで絞ったコンパクトなレース用カウルは加飾という概念が一切ありません。
速く走る事が目的であり、転ぶ事が前提なので安全を考えツルンと作ってある。
このそっけなさに何を加えればよいのか?を考えることにしました。

第1弾として、カウル両サイドの張り出しをもっと強調してシルエットを変えてみます。
そうすることによって後方一点へと終息する為のふり幅は大きくなり、ボリューム感が強調されます。

第2弾として、カウルトップのなだらかで綺麗な傾斜を、あえて無視することにしました。
もうこのカウルを母体にする意味って・・・・・と思いますが気にしてはいられません。
なだらかな傾斜が生み出す何とも言えないノスタルジックな雰囲気を手放し、直線的なラインに戻すことで、無機質な雰囲気に変わりました。
海外のレンダリング職人が、自分じゃ作れもしないのに、適当に書くアレっぽくて嫌です。

試行錯誤と言うものは、してナンボ。
「すりゃいいってもんじゃない」の逆です。
何だってやってみれば、〇か×か分かります。

・・・って事で考えると、これは無しですね。
実際に作る事で、パソコンの前に座っているだけじゃ、わからない事って沢山あります。
目線によって見え方が大きく変わったり、ある角度から見た時の美しさにハッとすることもあります。
乗車した時と、降車時の佇まいの差もよーく分かります。
オートバイデザインとは、ライダーが乗車して初めて完成する物だと私は思うのです。

もっとメリハリをつける為に、ドナーカウルのラインを敢えて”殺す”選択肢も持つこと。
3回もやり直した結果分かったことは、たったそれだけでしたが、それによってこのモヤモヤのループから脱出する為の方法がはっきりしました。
約一週間無駄にしましたが、ようやく腹が決まりました。

脱出

アルミテープは底をつき、グルースティックやPP板の在庫も不安になって来ました。
度重なるライン変更と修正で、元のPP板の強度はほぼゼロなので、ここらで全て型を起こし直して、新たにPP板を切り出さないと精度が保てなくなります。
連日の作業で、床にも車両にも机にも端材が散乱し、中々カオスになって来ました。

大きな決断として、もっとワイドにしつつ、長さも出しつつ直線的なラインに変更します。
サイドのエグリ感が当初考えていたほど強調せずに、すっきりと見せることにします。
サイド部分は1.5倍まで面積が拡大され、車両のシートレール付近をしっかりとカバーするように変更。
下端もタンクのラインと平行になる様に調整されました。
帽子のツバの様になっている部分をどうカットするか?実は相当悩みましたが、結局緩いカーブでいく事に落ち着きました。
ただし、真横から見た時に下からくる逆Rとのマッチングを大事にしてラインを決めました。

第二段階のBeforeです。
苦労の末に逆Rの呪縛から逃れ、サイドパネルは汎用的になって大型化しました。
大型化しても庇まで届かずバラバラな印象です。

これがAfterです。
シートカウルのカーブからは大きく乖離し、玄関の庇のように真っ直ぐに傘が伸びています。
いよいよもってこの黄緑の持つ意味が怪しくなってきますが(笑)、カウル造形にはよくある事です。
サイドのパーツをよこに大きく伸ばして、庇の後端に届くまで延長しました。
さあ、ここまでやったら大分雰囲気が変わるのではないか?と期待です。

(良くも悪くも)大分変りました。
何でもかんでも真っ直ぐになってしまったラインが、ちょいと素人DIY臭を放っています。
一方で、これがサーキットスペシャルだったら格好いいだろうなとも思います。
でも・・・ツーリングバイクなんですよね。失敗です。
艶っぽさが全然なくなってしまった。

けどガッカリする必要はありません。
着座位置が狭すぎるので、タックロールもう一本分後ろに下げるとよさそうです。
そして、もう少しカウルを寝かせたら・・・・などと改善ポイントがすぐに見えてきます。
終わりの無い迷宮からの脱出はもうすぐそこです。
もうひと踏ん張りです。

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