ZX-10R J/KをNinja化する⑧

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KAWASAKI
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面出し作業

さあ、カウルの造形の最終化を開始します。
数カ月間、見て見ぬふりをしてきましたが、ついにこの日がやって来てしまいました💦。
着ている服がすべてダメになり、体のありとあらゆるところが痒くなるダメージのデカい作業です。
型を取る際に、どうしても壊れてしまうマスター型とはいえ、ある程度の強度を出すためにファイバーパテを使っています。
このファイバーパテは、タルクと樹脂を混ぜ合わせて作るのですが、そこにチョップしたガラス繊維を混合することでしなやかになります。
混ぜれば混ぜるほど繊維質になるので、比例して造形しにくくなるのですが、この辺はさじ加減です。
しかしこれがまあ・・・硬化すると、とにかく硬くてどうにもなりません。
電動ランダムポリッシャーに#80を付けて荒砥ぎして、#100のベルトサンダーも併用してやっとこさの作業になります。
アルミよりは間違いなく硬く、鉄の一歩手前って感じの硬さです。

大きなアッパーカウルなのでドンドン作業を進めてゆきます。
GPZ900Rのカウルをベースに増改築されているこのオリジナルNinjaカウルですが、ご覧の通りもう殆ど原型を留めていません(笑)。
唯一面影を残すフロントセクションの一部を見てゆくと、このカウルの面白いところが分かります。

先の記事でも書いたように、このオートバイ(JK型10R)は大胆にくびれたワガママボディを持つ「コークボトルライン」で構成されています。
今回作るアッパーカウルの造形にも、そんなS字カーブがいたるところに存在します。
単純な弓なりのカーブではなく、一度抉ってから、逆に沿ったりしているのです。
造形には非常に難儀しましたが、苦労してよかったな~と思う瞬間でもあります。
頑張って仕上げようと思います。

GPZの原型を唯一残す正目の面構成はシンプルです。
紙風船やラグビーボールの様に何枚かの同じ形の型紙が綺麗に並んでいるかのようです。

こんな形の型紙が3枚綺麗に並んでいます。
アフターマーケットには、この先端を延長し「牙」なるものを強調したカウルが出回っているようですが、誰かの真似は好きじゃないので却下です。
返す返すも、当時のGPZ900Rをデザインしたのはどんな人なんでしょうね?
ご存命ならばぜひともお話を聞いてみたいものです。

創意工夫

機械を使って粉まみれになりながら無心で切削していると、忘れてしまいがちなのが細部のディテールです。
面倒だから、そのまま機械で削ってしまいたくなるのですが、そこは一度作業を止めて、手作業に切り替えています。
例えばこんな「ミミ」につながる折り返しのラインです。

ファイバーパテではぶっきらぼうに直線で繋げていましたが、半丸棒ヤスリ(金属用の目の細かい奴)で丁寧に削り込み、つながりを持ったうねりになる様に、造形し直しています。
単純に真っ直ぐな物の角を丸めるのではなく、約70度捻りながらうねって行くのです。
ここにも有機的なラインを見せることを強く意識しています。

これはナックルの部分ですが、オリジナルのGPZよりもわずかにワイド化されています。
ここは大きく折り返しが付くので、直線でいいところです。

とはいえ、一部をR付きの角としています。
ナックルのTOP部分は角張って見せたいので直線のまま残します。
この辺にも、長年の「カッコよく見せるノウハウ」があります。
なんてったって、カスタムNinjaは10台以上作っているのですから(笑)。

サイドの延長パネルにもひと工夫します。
アーティストとして言わせてもらうと、ここは唯一のキャンバスになる部分です。
もっと大きければ嬉しいのですが、バランスをとる上ではそうも行きません。

サイドパネルは真っ直ぐな線がいくつも交差しています。
これらは車両とのマッチングを意識して、意味を持って設定されています。
カウルがどうのこうのではなく、カウルが隠せない空間=車両の見える部分との整合です。
例を挙げれば、このサイドカウルからチラッと見えて、並行するフレームのラインなどになります。
それら「隙間」「余った空間」と一体となることが、StudioQ作品の一つのアイデンティティーです。

サイドカウルは真っ直ぐな板切れのように広がって行かぬ様に、後半部分はカールします。
これらは、タンクのチン方向への絞りに合わせて緩くカーブします。
つまり、車両最大のクビレに対して合わせてあると言う事です。
それによって、取って付けた感は限りなくゼロに近づきます。

今回のJKNinjaのご尊顔です。
上半分は、ごっそり新規造形なので「GPZ900Rのみをニンジャと呼ぶ会」とかの皆さんにとっては、邪道以外の何物でもないでしょうね💦💦。
1100刀のライトハウジングを使っていますが、GPZ900R用の光軸調整用の切り欠きをあえて残すことで、ノスタルジックな感じを演出したつもりです。

ごっそり新造形の上半分の部分は意外とソリッドな面構成です。
真っ直ぐで平坦。
そこに地下シェルターへの入り口かのように、ぽっかりと穴が開いています。
ここが象の鼻の代わりとなるエアインテークとなります。
鋭角に直線で穴を開けず、RS型のスクリーンベースの隆起に合わせてカーブした穴になっています。
今回は、直線と曲線を取り混ぜたとても複雑な面構成を持ったカウルとなりそうです。

ヘッドライトをグルリと覆うように法面が出来ています。
この辺だけが、唯一GPZ900Rです(これ以外は殆ど変わってます)。
穴部分は型を作る際には塞いでしまいますが、一旦ライトとの兼ね合いを図る為にもカットしてあります。
万一ハウジングの干渉などがあれば、全部やり直しとなり、泣くに泣けません。
今回、粗々での切削がほぼ終わったので、ポリパテとサフで仕上げる前に、少し折り返しなどを追加し、型抜きに耐えられるようにカウルの強度を上げてゆきましょう。 

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