【DIYマニュアル】ウレタン2液塗装で自家塗装~下地編

ペイント

ウレタン2液塗装は、強固な被膜でプロも使っている塗料ですが、その特殊性や手間などに関する敷居の高さから、なかなか手を出せずにいる人も多いと思います。
ここでは、私が自己流で今まで実践してみた経験からの「塗装の下地作り」を公開します。
これまでの失敗の積み重ねと、DIYと言う環境下でのリアルをベースに解説します。

下地処理

塗装を剥離した状態のSUZUKI GSX-R1000 K3のガソリンタンク

とにかく地味で、ゴシゴシとひたすら手を動かす作業が続くし、手も服も真っ白になるまで汚れまくるので、最初のうちは嫌で嫌でしょうがないんですが、この下地作りが完璧なら「もう成功を約束された」様な物です。
適度に休憩を入れたり、何日かに分けて作業するなど工夫して、リフレッシュしながら頑張りましょう。
大雑把に塗膜を削るなら、電動工具で下地が出ない様にサーっと削ってしまい、その後で角の部分など塗膜の薄そうな所だけは残し、最後は手で仕上げましょう。

ステッカーを剥がす

SUZUKI GSX-R1000 K3のガソリンタンクについていつ古いステッカーをスクレーパーで削る

古い車両はステッカーが硬くなってしまっているのでとても厄介です。
さらに古いクリア層に包まれていたりすると、ますます憂鬱になってきます。
そんな時はスクレーパーでクリア層ごと破壊しましょう。
ステッカーは硬くなっているので、うっかりすると指の爪の中に飛び込んできて、爪を剥がしたりする大けがにつながります。
作業用のグローブをして手をしっかり保護しつつ、パーツクリーナーを吹きかけ、薬剤を含侵させながら進めましょう。
ステッカーは大抵塩化ビニールシートで出来ていますので、熱を加えると作業性が上がります。
洗面所からドライヤーを拝借してくるのも手です。
また、ステッカーの糊は普通「不乾燥化学糊」を使っていますので、パーツクリーナーでは中々溶けてくれず、そこで拭いてしまうとベトベトが広がってしまうだけで最悪です。
ゴム状になった糊をスクレーパーで掻き出すようにこすって、綺麗に除去してください。
この作業は、必要に応じて何度か念を押し、本当に綺麗になるまでお願いします。

パテを入れる

下地処理済みのSUZUKI GSX-R1000 K3のガソリンタンクを、パテで成形する

ステッカーを剥がした後は、段差が残っている場合がほとんどです。
人間の力加減でやるのですから、うっかり付けなくてもいい傷をつけてしまう事もあるでしょう。
また、もともとのグラフィックデザインは「決して塗装とは限らない」点にも注意です。
まるで塗装かの様に綺麗ですが、ヘルメットデザインの様に「グラフィック転写シート」を糊で貼った上で、クリア塗装を行っている可能性もあります(と言うかその可能性の方が高い)。
その場合は、このグラフィックも「大きなステッカー」と見立てて、糊も含め完全に除去しなくてはいけません。
これはケースにもよりますので、各自剥離作業をしながら確認してみてください。
又、まるっと色替えする場合は「剥離剤」と呼ばれる溶剤を使うのも手です。
WAKO’S REMOVERなどを購入し、きちんと周囲を養生してから吹きかければ、あとは待つのみです。
反応が進んで塗装が縮んで剝がれてきたら、ブラシをもってお風呂場で綺麗に水洗いしましょう(ガソリンタンクは水が入らない様にご注意!)。

サフェサー

サフェサー塗装済みのSUZUKI GSX-R1000 K3の全景

下地処理が終わり、十分に洗浄+乾燥させたら、さっそくサフェサー(プライマーのこと)を塗布してゆきたいと思います。
サフェサーはどこの物でもいいですが、コスパの良い物だと関西ペイントのJUSTウレタンプラサフが有名です(私も使ってます)。
スプレーパテ代わりに濃度を濃い目に調整し、ドバドバ吹くので1Lだとコスパが悪く、いつも4Lで買ってます。
サフェサーは一般に上塗り塗装の密着をよくするために使うのですが、残ワックスやパテに少し含まれている酸が上塗りに悪影響を与えるのを防ぐ目的もありますので、パテを使う=サフを吹くと思ってください。
試しに、そのままサフ無しで吹いてみましたが、案の定パテ埋め部分で”弾き”が出ました(←懲りない)。
また、パテを付けた部分に巣穴が出来てしまい、パテを吸い込まずに弾いたりすることがありますが、その際は、乾燥を待ってサフェサーの上からパテを再び盛って成形し、またサフェサーを吹いて下さい。
サフェサーは常温20度で2-3時間もすれば乾いてくれるので、作業をドンドン前に進められます。
私の場合は、乾燥後#400の耐水ペーパーで平滑になるまで研磨してFinishします。

上手く行かない例

パテ処理に失敗したSUZUKI GSX-R1000 K3のシートカウルのアップ

最後に、カウルスワップをしていると稀に発生する事がある現象をご紹介します。
これはシートカウルを前後で継ぎ足して俗にいう「ニコイチ」をしている部分のUPです。
何度繊細にパテを盛っても、乾燥後にヒビが入ってしまいます。
この原因は、裏のみFRPで補強されている為で、乾燥の収縮時に物性が違うため破断する現象です。

FRP補修中のSUZUKI GSX-R1000 K3のシートカウルのアップ

これは永遠に治らない現象なので、この場合の解決方法は「表からもFRPを貼り込んで同じ物性にする」事です。

パテ補修中のSUZUKI GSX-R1000 K3のシートカウルのアップ

FRPが乾燥後に余分な部分を全部切削し、FRPの上に足りない分だけのパテを最小限だけ盛り付けて成形すると、アッサリと上手くゆきます。

綺麗に塗装されたSUZUKI GSX-R1000 K3のシートカウルのアップ

このように、何事にも「原因」がちゃんとあり、理解さえすればなんて事は無く解決します。
基礎編にも書きましたが「慌てないこと」が塗装では一番大事です。

  • 完璧な下地は成功へのパスポート
  • 汚れてもいい恰好でのんびりやる
  • 途中で妥協しない
  • パテは派手に使わない(最小限にする)
  • 剥離剤を使っても良いが、しっかり養生する事。
  • サフェサーはスプレーパテの様にも使える
  • イレギュラーに遭ったら、作業を辞めよく考える

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